ロシア主導の集団安全保障条約機構(CSTO)首脳会議出席のためカザフスタンを訪れたプーチン(11月27日、アスタナ) REUTERS/Turar Kazangapov

<戦闘を一時凍結する間に100万人のウクライナ国民を動員して訓練を施し、反転攻勢のチャンスを与えようとしていると、ロシア当局は西側の計画を詳細に語った>

ウクライナがロシアへの「報復」に向けて態勢を整えることができるよう、NATOは10万人規模の平和維持部隊をウクライナに派遣する計画を立てていると、ロシアの情報機関が主張している。

ロシアの情報機関、SVR(対外情報庁)は11月29日のリリースの中で、NATO加盟国の一部が「『平和維持部隊』の派遣を装ってウクライナを占領」する可能性があるとの見方を示した。

SVRは何の根拠も示していない。NATOのイエンス・ストルテンベルグ事務総長(当時)は4月に、NATOに「ウクライナに軍隊を派遣するつもりはない」と述べていた。

本誌はNATOとロシア国防相にコメントを求めたが回答は得られていない。

「戦場でロシアを倒す見込みがない状況」の下、NATOはウクライナでの戦争を「凍結」しようとしている、とSVRは言う。

そして、少なくとも100万人のウクライナ国民を動員して訓練し、「ウクライナの軍産複合体を復活」させようとしているという。

「それによって西側は、ウクライナ軍の戦闘能力を建て直し、報復の態勢を整えさせたいと考えている」と述べた。

「NATO本部は、ウクライナ軍に十分な武器弾薬を提供しない限り、ウクライナが高強度の戦闘を長期間にわたって続けるのは無理だいうことを理解している」とSVRは指摘した。

ウクライナ「占領」は西側にとって「こうした問題の解決」策になるだろうと主張した。

一方、ウクライナ国防省は29日朝、侵攻におけるロシア側の1日あたりの死者は2000人を超え、1週間前の記録を塗り替えたと発表した。

ウクライナ国防省はソーシャルメディアのX(旧ツイッター)に、ロシア軍は11月28~29日の間に2030人の兵士を失ったと投稿した。1日で2000人を超える死者が出たとする投稿はこれが初めてだ。

もし29日にウクライナ国防省が発表したデータが正しければ、ロシアが2022年2月にウクライナ侵攻を開始して以降、ロシア側の死者の総計は73万8660人にのぼることになる。

ウクライナはまた、11月のロシア側の死者数は、1カ月あたりの数字としては侵攻開始後では最も多い計4万2250人になったとしている。

ロシアは自国軍の死傷者数を公表していない。死傷者数に関しては、ウクライナのデータも信用できないというのが専門家の見方だ。


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