インドといえば、スパイスをたっぷり使った辛い料理が有名だ。本場のレストランで出されるインド料理は、とにかく辛い。
ニューデリーで出産した記者は、つわりの時期に、出先で食べられるものが少なく困った。さすがにカレーはきつい。しかし、主治医に相談すると、「インドでも、妊婦は辛い料理を食べません」との答えが返ってきた。
では、何を食べるのだろう――。
主治医によると、インドでも家庭料理はスパイスや油が控えめだという。そのため、妊娠中はなるべく外食を避け、家庭で食事するのが望ましいとされる。特につわり中の妊婦は、スパイスをまったく使わず、塩で味付けしただけの豆のスープを食べる。実際に知人に作ってもらうと、素朴で優しい味わいだった。
妊婦だけでなく、赤ちゃんの離乳食にもスパイスは使わない。生後5カ月ごろに初めて離乳食を与えて成長を祝うが、砂糖と牛乳で甘く煮た米などを与えるのが一般的だ。
ちなみに、このときには食べ物のほかに、ペンやお金、おもちゃなどを並べ、赤ちゃんがどれを選ぶか反応をみる儀式もある。
ペンは知恵、お金なら富などを象徴する。赤ちゃんが選んだ物は、その将来を暗示しているのだという。我が家のベビーシッター、ジーナ・ディソウザさん(62)は「親がペンやお金を近づけようとしても、ほとんどの子供はおもちゃを選びます」と教えてくれた。
家庭にもよるが、子供が初めてスパイスが入った料理を食べるのは2歳ごろからだという。「最初は少量しかスパイスを使いませんが、舌が熱くて泣き出す子もいます。少しずつ量を増やすことで、慣れていきます」(ディソウザさん)。こうして舌を鍛え、辛さに強い味覚が育まれるのだろう。【ニューデリー川上珠実】
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