11月24日、東欧ルーマニアで、大統領選挙の第1回投票が行われた。写真は第1回投票の様子。ルーマニアのシンテシュティで撮影(2024 ロイター/Andreea Campeanu)
東欧ルーマニアで24日行われた大統領選挙は、北大西洋条約機構(NATO)懐疑派の極右カリン・ジョルジェスク氏と中道右派のエレナ・ラスコニ氏による12月8日の決選投票に持ち越された。大統領は国防と外交に権限を持ち、結果によっては親ウクライナ的な政策に影響が出る可能性がある。
選管当局によると、ジョルジェスク氏の得票率は22.94%、ラスコニ氏は19.18%。事前に優勢が伝えられていた中道左派のチョラク首相は3位に後退した。
同首相は選挙結果を受けて党首を辞任すると発表。首相職には12月1日の議会選までとどまるとした。
ルーマニアはウクライナと650キロメートルにわたる国境を持つ。2022年のロシアのウクライナ侵攻以降、黒海の港がウクライナ産穀物の輸出拠点となり、ウクライナへの軍事支援も行ってきた。
ジョルジェスク氏はNATOに批判的で、デベセル基地にあるNATOの地上配備型迎撃ミサイルシステムを「外交の恥」と呼び、ロシアの攻撃を受けた場合にNATOはどの加盟国も守らないと主張していた。
<ロシアの選挙介入、否定できず>
ジョルジェスク氏は投票前の一部世論調査での支持率は5%程度で、24日の第1回投票での躍進は予想外だった。同氏は動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」を中心に選挙戦を展開した。
政治評論家からは、世論調査と実際の投票結果が異なるのは1989年にチャウシェスク政権が崩壊し民主主義体制に移行して以降、初めてで、ジョルジェスク氏の躍進はロシアの介入によるものとの見方も出ている。
バベシュ・ボヤイ大学のSergiu Miscoiu教授(政治学)は「ジョルジェスク氏のウクライナを巡るスタンスと、世論調査と投票結果の違いを踏まえると、(ロシアが介入した)可能性は排除できない」と述べた。
首都ブカレスト中心部では25日、数百人がジョルジェスク氏に反対するデモを行った。
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