11月22日、貿易摩擦に対する懸念で外国為替市場が乱高下する中、中国の輸出企業が為替リスクを軽減するため、ドルの保有拡大、元建て契約の締結、輸入ルートの開拓に動いている。写真は米中の国旗。2021年11月、米マサチューセッツ州ボストンで撮影(2024年 ロイター/Brian Snyder)
貿易摩擦に対する懸念で外国為替市場が乱高下する中、中国の輸出企業が為替リスクを軽減するため、ドルの保有拡大、元建て契約の締結、輸入ルートの開拓に動いている。
トランプ次期米大統領は中国製品に60%の関税を課す意向を示しており、輸出企業は取引先を長期的にアジア、中南米、アフリカにシフトさせる準備を進めている。
利益率の低さも企業の頭痛の種だ。リスク管理コンサルティング会社Qian Jingの創業者David Jiang氏は「オフショアでドルを保有したいという声が急激に高まっていることは明らかだ」と指摘。江蘇省を拠点にする年商3億ドルの輸出企業から5%の利益率を為替リスクからどう守るか相談を受けていることを明らかにした。
今月5日の米大統領選以降、ドルは人民元に対してすでに約2%値上がりしている。
現在、大半の企業は輸出代金として得たドルをそのまま保有し、可能であればオフショアの口座で管理している。中国人民銀行(中央銀行)によると、国内の外貨預金は10月末までの1年間で6.6%増加、8365億ドルに達している。
アナリストの来年末の人民元の予想レートは平均で1ドル=7.3元。現在の7.24元前後から下落が見込まれている。
鉱物輸出を手掛ける浙商中拓集団の金融市場事業部ゼネラルマネジャー、Liu Yang氏は「米中の金利差は大きい。これは長期にわたって変わらないだろう。ドル資産の保有は中国の輸出企業にとって自然な流れだ」と述べた。
双方向の貿易
中国企業はトランプ氏の関税を警戒し、すでに貿易の再構築を進めているが、その余波は外国為替など金融市場にも及びつつある。
シティ(シンガポール)の通貨トレーディング担当アジア太平洋責任者、Nathan Swami氏は「高関税は長期的に為替ヘッジのフローの構成を変えるかもしれない」とし「人民元が世界の決済・貿易に占める比率は年々高まっており、新たな貿易が一部で非ドル建てになり、為替ヘッジのニーズに変化が生じることが考えられる」と述べた。
国際銀行間通信協会(SWIFT)のデータによると、世界の貿易金融に占める人民元の比率は10月末時点で5.77%と、2020年の約2%から上昇し、ドルに次ぐ2位となっている。
一方、税関のデータによると、米国に輸出される中国製品の比率は近年、着実に減少。東南アジア、インド、メキシコへの輸出が増えている。
一部の輸出業者はすでに人民元建ての契約や、双方向の貿易の確立を通じて為替リスクの回避を図っている。
広東省を拠点に南米やアフリカにLED照明を輸出している実業家Jacky Wang氏は、双方向の貿易で為替リスクを軽減すべきだと指摘。
「輸出代金で現地の商品を購入して中国に輸入し、利益はドルに両替する。これが為替リスクを管理するシンプルで基本的な方法だ」と述べた。
福建省で自動車輸入業を営む傍ら、商品の輸出も行っているHan Changming氏も「双方向の貿易は自然なヘッジになる」と語った。
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