中国政府は22日、日本人に対する短期滞在ビザ免除措置を30日から再開すると発表した。短期訪中時のビザ免除措置は2020年3月まで認められていたが、新型コロナウイルス対策で一時停止。日本企業の出張対応などのため、日本の経済界からは復活を求める声が多く、日本政府が早期再開を求めていた。
フランスやドイツ、韓国などが先行してビザ免除措置を受ける一方、日本については中国側が相互の対応が必要として、日本政府が約60カ国に認める外交・公用ビザ免除を中国にも適用することなどを求め、両国間で協議が続いていた。
岩屋毅外相は中国側が発表する直前の22日の記者会見で「中国側にはビザ免除措置の早期再開をたびたび要請してきた。近く再開されることを期待している。中国人の訪日ビザ(の手続き見直し)については状況の変化に応じて検討を進めたい」と述べた。今回は中国側が一方的にビザ免除を決めたとみられる。
また、中国政府は短期ビザ免除の滞在期間について、今回の日本を含め、従来の15日間から30日間に拡大するとも発表した。中国の国内経済は、不動産不況が長引くなど停滞しており、中国側にはビザ免除で投資や観光客を呼び込み、経済活性化につなげたい思惑があるとみられる。
また来年1月発足の米国のトランプ次期政権下で米中対立の激化も予想される中、日本との関係を安定させる狙いもありそうだ。
15日には石破茂首相と中国の習近平国家主席が、アジア太平洋経済協力会議(APEC)が開かれたペルーの首都リマで初めて会談し、「戦略的互恵関係」の包括的な推進を確認していた。【金寿英、北京・河津啓介】
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