国連安全保障理事会の議場で、スマートフォンを操作するロシアのポリャンスキー国連次席大使(前列左)に向けて発言する英国のラミー外相(後方前列の右から2人目)=米ニューヨークで2024年11月18日、ロイター

 国連安全保障理事会で18日、スーダン内戦における民間人の保護と敵対行為の停止を呼びかける決議案の採決があり、ロシアの拒否権行使で否決された。ロシアは内戦当事者双方と関係を持つ。全15理事国のうち米中を含む14カ国は決議案に賛成していた。

 北アフリカのスーダンでは、2023年春から国軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」の内戦が続く。国連によると、人口の3割近くにあたる1400万人超が国内外に避難した。全土で人道危機が深刻化し、性暴力などの被害も数多く報告されている。

 RSFは、露政府傘下の民間軍事会社ワグネルの支援を受けてきたとされる。露政府は同時に、紅海での軍事拠点確保などを目的として、武器支援を通じてスーダン国軍への影響力も強めている。

 今回の決議案は、双方に敵対行為の停止や人道支援の実施へ向けた対話を呼びかける内容で、英国とシエラレオネが提案した。

 否決を受けて、議長を務めたラミー英外相は「グローバルサウス(新興・途上国)のパートナーであるかのように振る舞うプーチン(露大統領)は恥を知れ」と非難し、「どれだけのスーダン人が殺され、女性がレイプされ、子どもが飢えなければならないのか」と言葉を強めた。

 ロシアのポリャンスキー国連次席大使は会合で「個々の理事国の意見を安保理の決定を通じて押しつけるべきではない」と拒否権行使を正当化した。ロイター通信によると、スーダン外務省はロシアの対応を歓迎する声明を発表した。【ニューヨーク八田浩輔】

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