南シナ海のアユンギン礁付近でフィリピン当局の船に向かって放水砲を発射する中国海警局の船=2023年12月10日(フィリピン沿岸警備隊提供、AP=共同)

【シンガポール=森浩】フィリピンのマルコス大統領は11日の日米比首脳会談を通じ、南シナ海で続く中国の覇権的な海洋進出に対し、日米との連携で対応する姿勢を鮮明にした。マルコス政権は、ドゥテルテ前大統領の対中融和路線では中国を抑止できないとの考えが強く、今後日米と協力関係をより深化させたい考えだ。

「今回の会談は始まりに過ぎない。次世代のために平和な世界を築く方法を検討する」。マルコス氏は日米比首脳会談前にこう話し、日米との長期的な連携に期待感を示した。

南シナ海では3月23日にスプラトリー(中国名・南沙)諸島のアユンギン(同・仁愛)礁付近で、中国船の放水で比補給船の乗組員3人が負傷するなど、中国の妨害がエスカレートしている。

ドゥテルテ氏は対中融和姿勢を取ったが、それに乗じるように中国は海洋進出を強めた。今年3月には南シナ海問題を巡り、ドゥテルテ氏と中国の間で比側が譲歩する〝密約〟があったと報じられ、マルコス氏は訪米前、密約を「ぞっとする」と批判している。

比紙マニラ・タイムズは12日付の社説で、マルコス氏の日米接近は「中国への惨めな服従という前任者(ドゥテルテ氏)の政策より、はるかに受け入れられるだろう」と言及。日米比の連携は、「インド太平洋地域で中国の野望を抑制するトライアングル」として機能すると指摘した。

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