米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は14日、南部テキサス州ダラスでの講演で、米経済は極めて堅調との認識を示し、「利下げを急ぐ必要はない」と明言した。FRBは物価上昇(インフレ)の鈍化を受け、2会合連続で政策金利を引き下げているが、今後の利下げペースは「慎重に判断できる」と述べ、柔軟に対応する考えを示した。
パウエル氏は、個人消費主導で米経済が堅調に推移しており、「主要国の中でも群を抜いて良い」と評価。「経済状況は『利下げを急ぐ必要がある』とのシグナルを送っていない」と述べた。
さらに「現在の経済の力強さを考えれば、我々は慎重に判断することができる」とも指摘。インフレ鈍化の一方で雇用環境の悪化が懸念され、9、11月と2会合連続で利下げを決めたが、今後は経済状況を精査して、利下げするか慎重に判断する考えを示した。
講演後の質疑では、トランプ次期大統領が掲げる大型減税などの影響が出てくるのは「かなり先」との認識を改めて示した。
パウエル氏の発言を受け、市場では12月会合でFRBが利下げを見送るとの見方が拡大。高金利のドルを買って円を売る取引が増え、15日午前の東京外国為替市場の円相場は、一時1ドル=156円台半ばで取引された。【ワシントン大久保渉】
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