ドナルド・トランプ次期大統領は13日、2021年1月の退任後初めて米首都ワシントンのホワイトハウスを訪問し、ジョー・バイデン大統領と約2時間会談した。5日の大統領選を受けた政権移行プロセスの一環で、内政や外交の諸課題について意見を交わした。ホワイトハウスは「丁寧で、誠意のある実質的な協議だった」と説明した。
トランプ、バイデン両氏は6月のテレビ討論会で相対した際は握手もしなかったが、今回は冒頭で握手を交わし、笑顔を見せた。協議にはザイエンツ首席補佐官と、ワイルズ次期首席補佐官も同席した。
バイデン氏は冒頭で「ドナルド、おめでとう」「お帰りなさい」と返り咲きを果たしたトランプ氏を祝福。「円滑な政権移行を期待しており、あなたが必要なことはしっかりやるようにする。今日もそうした話をしたい」と述べた。終了後にはX(ツイッター)に協議中の写真と「円滑で平和的な権力移行を率いていく」とのメッセージを投稿した。
トランプ氏は「政治とはタフなもので、多くの場合は快い世界ではないが、今日はすばらしい。政権移行は非常に円滑なものになるだろう。ありがとう、ジョー」と述べ、融和ムードを演出した。ホワイトハウスによると、トランプ氏が詳細な質問をする場面もあった。
トランプ氏が勝利した大統領選の今後の流れとしては、12月17日に各州と首都ワシントンで、一般投票の結果に基づく選挙人投票がある。来年1月6日には連邦議会で公式集計手続きがあり、1月20日に就任式が開かれる。
前回の20年大統領選では、落選したトランプ氏が敗北を認めず、対面による新旧大統領の引き継ぎは行われなかった。トランプ前政権は政府施設の利用を許可しないなど、各省庁の引き継ぎにも支障が出た。公式集計手続きの際に、トランプ氏の支持者らが連邦議会を襲撃する事件も起きた。
バイデン氏は、こうした妨害は「民主主義の根幹を傷つける」と批判してきた経緯があり、今回は円滑な政権移行に協力することで「模範」を示した形だ。
トランプ氏は会談に先立ち、下院共和党の議員団の会合に出席した。憲法が改正されない限り、25年1月からの大統領2期目が最後となるのを踏まえて、「あなたがたが何かしない限り、もう一度立候補することはない」とジョークを飛ばした。
米国では憲法改正の発議に、連邦議会上下両院での3分の2の支持か、全米50州の3分の2の州議会の要請のどちらかが必要だ。さらに、改正には4分の3の州の承認が必要で、超党派の支持がなければ実現可能性は極めて低い。【ワシントン秋山信一】
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