トランプ次期米大統領が国防長官に退役軍人で、保守系メディアFOXニュースで司会者を務めたピート・ヘグセス氏(44)を起用すると発表したことに13日、米国防総省では驚きの声が上がった。写真はニューヨークで2016年に撮影(2024年 ロイター/Shannon Stapleton)

トランプ次期米大統領が国防長官に退役軍人で、保守系メディアFOXニュースで司会者を務めたピート・ヘグセス氏(44)を起用すると発表したことに、米国防総省では驚きの声が上がった。欧州の同盟国には困惑も広がるが、共和党議員の間には支持する動きも見られる。

ヘグセス氏は政府で要職を務めた経験がない。これまでに国防総省幹部による政策を「(社会正義に目覚めた)ウォーク」として批判。女性の戦闘参加に反対したほか、米軍制服組トップのブラウン統合参謀本部議長がこの職にあるのは黒人だからではないかとも述べている。


 

ヘグセス氏の起用に国防総省では衝撃が走った。複数の幹部が個人的な見解としてヘグセス氏の資質に疑問を呈し、ある幹部はもっと下位の官職でも務めるのは困難だと述べた。

民主党議員の間でも、ヘグセス氏が130万人の米軍を率いるのは難しいとの見方が出ている。ジェイソン・クロウ下院議員は「(国防長官は)テレビ司会者が就くような、入門レベルの職務ではない。上院はこの指名を拒否すべきだ」と述べた。下院軍事委員会の民主党トップのアダム・スミス議員もヘグセス氏の起用に反対の立場を表明した。

ヘグセス氏が国防長官に就任すれば、トランプ氏の公約通りに、保守派が批判している多様性の促進など「進歩的な政策」を進める軍幹部を一斉に解任する可能性がある。

欧州の複数の高官はロイターの取材に、ヘグセス氏の見解や、重要な課題での立ち位置についてはほぼ何も分からないと語った。欧州の国防当局高官は「彼のことは聞いたことがない。よく知るためには直接会う必要がある」と述べた。また別の高官は、最も適任だとは思えないが、「どの国にも閣僚を選ぶ権利があり、必要であれば対応する」とした。

ヘグセス氏は安全保障上の主要な問題に対する自分の考えを具体的に明示していないが、北大西洋条約機構(NATO)については明確に懐疑的な見解を示している。

共和党議員の中にはヘグセス氏を支持する動きもある。上院軍事委員会で共和党トップを務めるロジャー・ウィッカー議員はCNNテレビでヘグセス氏の国防長官起用について、「心配していない。一緒に働けることになってうれしい」と述べ、資質に問題はないとの見方を示した。共和党ではケビン・クレーマー上院議員がヘグセス氏は「素晴らしいやつだ」と述べたほか、テッド・バッド上院議員も「すごい人物だ」と評した。



[ロイター]


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