米国務省のパテル副報道官は12日の記者会見で、イスラエルの侵攻が続くパレスチナ自治区ガザ地区での人道状況が過去30日間に改善したとの認識を示した。米政府は10月にイスラエルに対して人道支援を巡る状況の改善を要求し、応じなければ軍事支援を削減する可能性があると示唆していたが、今後も従来通りの支援を続ける。
パテル氏は「ガザ地区の境界検問所の再開・開放、ガザ地区内の人道支援物資の輸送ルートの確保など、過去30日間にいくつかの措置がとられた」と説明。米国内法では外国政府が米国による人道支援を規制した場合に軍事支援停止を求める条項があるが、パテル氏は「現時点で違反しているとの評価はしていない」と述べた。
ブリンケン国務長官とオースティン国防長官は10月、イスラエル政府に対して、11月12日までにガザ地区の人道状況の改善措置をとるよう求める書簡を連名で送っていた。
米ニュースサイト「アクシオス」によると、国務省内には「イスラエルが要求の多くを満たしておらず、少なくとも一部の軍事支援を止めるべきだ」との意見があったが、ブリンケン氏の側近らは「要求によってイスラエルの姿勢を変えたことは効果的だった」と評価。最終的にブリンケン氏が支援継続に賛同したという。
一方、国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン」など八つの人道支援団体は「イスラエルは米国の要求を満たしていない」と批判した。【ワシントン秋山信一】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。