中国最大の航空ショーが12日、広東省で開幕しました。目玉となったのは、中国が独自開発した第5世代ステルス戦闘機『殲35A』。中国3隻目の空母『福建』に搭載されるとみられる戦闘機で、ここ数年、中国軍に著しい“航空戦力の増強”を象徴する兵器です。
着々と軍備を進める中国に対し、トランプ政権はどのような立場をとるのでしょうか。
アメリカメディアが気になる人事を報じています。
ニューヨーク・タイムズ(11日)「トランプ次期大統領が、マルコ・ルビオ上院議員を国務長官に任命する見通しだと3人の関係者が明らかにした。トランプ氏が土壇場で考えを変える可能性もあるが、副大統領候補にもあがったルビオ氏に落ち着いたようだ」
国務長官は日本でいう外務大臣の役職。そこに、特に中国に対して、最も強硬な発言をしてきたルビオ氏の名前があがりました。
ルビオ上院議員(2021年・米上院外交委員会)「『中国が豊かになればアメリカに考えが似てくるだろう』この誤った認識を、共和党と民主党は、20年間も共有していたが、知的財産などを盗まれ、みんなが目を覚ました。わが国で大学生を諜報活動に使い、研究成果を盗み去った。貿易の不正は言うに及ばない。少数民族を強制労働に送り、アイデンティを消し去る再教育まで行っている」
中国にとって一番触れられたくない“人権問題”まで持ち出し、強制労働によって作られた製品の輸入を禁止する法案を提出したのがルビオ氏です。中国政府から制裁をかけられていて、入国禁止の状態が続いています。
中国外務省・林剣副報道局長「(Q.ルビオ氏が国務長官になった場合、渡航禁止を含め制裁を解除するか)提供できる情報はありません」
さらに、ホワイトハウスの国家安全保障担当補佐官には、こちらも対中強硬派で知られるマイケル・ウォルツ氏に打診があったと報じられています。
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■“ウクライナ終戦案”浮上一方、喫緊の外交課題はほかにあります。ウクライナ侵攻です。
アメリカ・トランプ次期大統領(6月)「プーチンとゼレンスキーの戦争に決着をつける。就任前にやる。無駄で愚かな犠牲が出ている」
“大統領就任”、つまり、あと2カ月以内の終戦を約束していたトランプ氏。その方法について、このような案が報じられています。
ウォール・ストリート・ジャーナル(6日)「トランプ政権移行チームで提案された案の1つを、トランプ氏に近い3人の関係者が明かした。ウクライナが、少なくとも20年はNATOに加盟しないと約束し、その見返りとして、アメリカは大量の武器支援を継続する」
さらに条件があります。
ウォール・ストリート・ジャーナル(6日)「いずれの終戦案もロシアが占領しているウクライナの領土を“固定化”するものである。双方に800マイル(約1280キロ)の非武装地帯の設定を合意させる案もある」
占領されているウクライナの領土をロシアが保持することを認めるとなれば、ウクライナは領土の約20%を失うことをのまなければいけません。
トランプ氏は、ウクライナへの積極的支援を主張していたポンペオ元国務長官やヘイリー元国連大使の2人を新政権では起用しないと明言しています。ウクライナが終戦案を拒否した場合、支援を打ち切る可能性は否定できません。ただ、この終戦案、ロシアにとっても、いまは受け入れられるものではないかもしれません。わずかですが、ウクライナもロシア領内の一部を占領している状態が続いています。もし、終戦案が双方に同じ条件を求めるなら、ウクライナによるロシア領土の固定化を認めることになりかねないのです。
こうしたなか、ロシア・クルスク州に5万人規模の兵が配備され、大規模攻勢がすでに始まっているとみられています。そのうちの1万人は、北朝鮮兵だともいわれています。
このタイミングで北朝鮮から大量に兵士が送られたのは、“終戦案がテーブルにあがるまえに、クルスクを奪還しなければならない”という思いをロシアが持っているからかもしれません。
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■中国・ロシアにどう対峙?◆トランプ氏の大統領2期目の外交について、アメリカ政治に詳しい慶應義塾大学・渡辺靖教授に聞きました。
渡辺教授は「1期目の当時、共和党の主流派とは考えが違ったため“反トランプ”もいた。しかし、今の共和党は“イエスマン”がそろう、まさに“トランプ党”と言える。前回より一層“アメリカファースト”を強めてくるだろう」 とみています。
“アメリカファースト”、外交にはどのような形で表れるのでしょうか。
まず中国です。トランプ氏はアメリカの経済を最優先にしていて、1期目には、中国製品に最大25%の関税をかけました。そして、今回の選挙中、「60%の関税をかける」としています。
渡辺教授は「選挙中に訴えてきたテーマなので、拳をおろすことはできない。“高めの球”を投げていく。
中国も報復関税をかける可能性があるため、米中の貿易戦争がより激化するのでは。国務長官に、中国への強硬姿勢で知られるルビオ氏の起用が報じられたことが、より強い“アメリカファースト”の表れだ」 としています。
ロシアやウクライナに対しては「トランプ氏は、“ウクライナの勝利は非現実的”と捉え、最悪、支援を停止する可能性もある。トランプ氏は『ロシアが実効支配するウクライナの地域をロシア領と認める』『ウクライナのNATO加盟を認めない』など、停戦案を探っていくことになるのでは。ただ、ウクライナの反発も考えられることから、現状は方針を決めかねていると思う」としています。
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