ロシアのショイグ安全保障会議書記が12日、訪問先の北京市で、中国外交トップの王毅・共産党政治局員兼外相と会談した。タス通信によると、ショイグ氏は、「米国とその衛星国による露中の『封じ込め』には共に対抗する必要がある」と主張。米国のトランプ次期政権の発足に備え、中露双方が戦略的な連携の強化を確認した。
中国外務省によると、王氏は会談で「国際情勢が複雑になり、外部からの挑戦が増すほど、中露双方は団結と協力を堅持しなければならない」と指摘した。ショイグ氏は「露中の意思疎通の重要性がより鮮明になっている」と応じた。
習近平指導部にとって、ロシアは対米で共闘する重要なパートナー国だ。トランプ次期大統領の政権は、1期目同様に中国への強硬姿勢が予測される。中国はロシアと共に、新興・途上国を味方につけて、米国に対抗する戦略を進めるとみられる。
ショイグ氏と王氏は会談で、ロシアのウクライナ侵攻についても意見を交わした模様だ。北朝鮮がロシア支援のために派兵したとされる問題が議題に上った可能性がある。
中国はロシア、北朝鮮のそれぞれと密接な関係にあるが、露朝の軍事連携とは距離を置いている。中露朝が一体と見なされることで日米韓や欧州を刺激し、対中包囲網が強まる事態を警戒しているとみられる。
ショイグ氏の訪中は15日までの日程で、広東省珠海市で開催されている航空ショーも視察する予定。露軍の最新鋭ステルス戦闘機などが参加しており、中露の軍事的な結びつきを国内外に誇示する狙いがありそうだ。【北京・河津啓介】
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