米主要メディアは11日、トランプ次期大統領が第1次政権で上級顧問を務めたスティーブン・ミラー氏を政策担当の大統領次席補佐官に任命する方針だと報じた。移民政策などのブレーン役を担ってきた。トランプ氏は国境管理の責任者に移民・税関捜査局(ICE)元幹部のトム・ホーマン氏を起用する方針も発表。公約に掲げる不法移民の大量追放や「国境の壁」建設の本格的再開に向けて、着々と布陣を固めている。
ミラー氏は第1次政権でスピーチライターを務めるなど、トランプ氏の信頼が厚いとされる。看板政策になる不法移民対策で司令塔の役割を担うとみられるが、他の政策でも影響力を持つ可能性がある。
一方、ホーマン氏は実務面での役割が期待されている。具体的な役職は不明だが、トランプ氏は「治安維持や国境管理で右に出る者はいない。不法移民の出身国への追放の責任者となる」と述べた。
トランプ氏は選挙戦で国境管理の強化に加えて、不法移民の国外追放を訴えてきたが、実態把握の難しさやコスト面などハードルもある。米政府は2022年時点で約1100万人が国内に滞在していると推定しているが、正確な居住実態はつかめていない。
非営利団体「米国移民評議会」は、不法移民を年間100万人ずつ追放すると仮定した場合、約9680億ドル(約149兆円)かかると推計している。
不法移民はサービス業や農業、製造業などの現場を支え、低賃金で働いている実態がある。国外追放によって労働力不足や人件費増加による企業の経営悪化につながるとの指摘もある。【ワシントン秋山信一】
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