今年の夏は記録的な暑さに加え、新型コロナの感染拡大で、救急車の要請が例年以上に増えています。この影響により、大分市では病床がひっ迫し、救急患者の受け入れ先がみつからない「救急搬送困難事案」が急増しています。

7月の猛暑日の日数は大分市で17日。平年の1.7日の10倍と記録的な暑さが続いています。熱中症患者の増加と新型コロナの拡大で救急医療機関は、フル稼働しています。

大分市の大分三愛メディカルセンターでは、様々な救急患者の対応にあたっています。例年夏場は救急需要が増す中でも、今年の7月はここ数年で最多の276件に対応しています。

救急科部長 玉井文洋医師:
「救急車の数的には受け入れているが、要請がかなり多いので、お断りせざるを得ない件数も多い」

7月の受け入れ患者がここ数年で最多となる一方で、断った件数は185件と少なくありません。背景には新型コロナの感染拡大による病床のひっ迫があります。

救急科部長 玉井文洋医師:
「他の患者さんにうつすわけにはいかないので、感染管理を徹底しながら入院患者をとっていますが、病床の運用自体が厳しくなっている」

救急隊と医療機関の調整の難航に伴い、現場滞在時間が長引く救急搬送困難事案が増加。大分市では7月としては最多の89件発生し、1時間46分滞在したケースもありました。

大分市消防局救急救命課 鶴原新護さん:
「患者をなかなか病院に搬送することができない状況で、救急車の中で滞在させてしまい、市民の方に負担をかけてしまう状況になっている」

救急隊の運用が厳しさを増す中、大分市消防局は7月24日から「特別救急隊」を編成。市内13の救急隊がすべて出動した場合には、救命士などの資格を持つ本部の事務職員が救急出動する態勢となっています。

鶴原新護さん:
「グレーの服を着ている職員が救急隊用となっている。いつ出動するか分からないので常に緊張感をもって業務にあたっています」

消防本部に隣接する公共駐車場には非常用救急車を配備。特別救急隊の出動要請に備えます。

鶴原新護さん:
「暑い時期には無理をせずに体を十分休めるとか未然に悪くなるのを防いでいただくというのが重要。そして悪い時に躊躇せず救急車を呼んでほしい」

熱中症と新型コロナで例年以上に救急需要が増している今年の夏。暑さ対策や感染予防など一人一人の心がけが大切です。

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