観光庁ではインバウンド客数の回復を見据えて、消費額増加と地方への誘客のため、北陸地方を「高付加価値旅行=ラグジュアリートラベル」のモデル観光地の一つとしています。そんな中、ラグジュアリートラベルを提供するヨーロッパの旅行会社の代表らが越前市を視察しました。福井の「伝統の技」は、世界の富裕層の旅の目的になるのか、一行の反応はどうだったのか、取材しました。
       
視察は、日本政府観光局と、ヨーロッパを中心にラグジュアリートラベルを扱う旅行会社が加盟する団体「セランディピアンズ」が連携して行っています。
 
「セランディピアンズ」には、世界77カ国、約1500の旅行会社や宿泊施設が加盟していて、この加盟社による投票で「2024年に最も期待の大きい旅先」として日本が選ばれました。
 
今回の視察のテーマは「職人の技とアート」で、セランディピアンズの会長や加盟社のCEOら5人が越前和紙の工房を見学。原料から和紙ができるまでの工程を見て回り、参加者たちは工房の創業以来約160年変わらない技術に釘付けとなっていました。
 
ルクセンブルクからの参加者は「全てが素晴らしい。初めて見るものばかりですごく良い」と感激した様子。イギリスからの参加者も「ラグジュアリーというのは、職人の技や経験を目にすることで、それが人々が旅先で求めること。ローカルな匠の技に触れることがとても大切で、特に次世代の富裕層がそれを求めている」と興奮した様子で話していました。
     
ツアーの最後には、伝統工芸士の玉村秋子さんが「紙漉きの唄」を披露しました。
   
セランディピアンズのドゥシューモン会長は「世界中で産業は何十年も受け継がれていて、そこには美しさがある。和紙は、高品質な本や地図など様々なものを生み出す美しさがある。ここに来ることができ、芸術的な和紙の工程を知ることができてとても光栄だし、視察できて嬉しい」と高い評価を口にしました。

日本政府観光局の澤田美和さんは「福井では特に職人の技を紹介したいと考えていて、地域に長く続いている伝統の技をぜひインバウンド客に見てほしい」と話します。
  
一行は、この後11日にかけて瀬戸内地方を訪れ、アートを中心に視察するということです。
       
今回、一行が見学した和紙工房では、2022年ごろから観光客の見学や、インバウンド客をターゲットとする旅行業界の視察が増えているということで「駅から離れた場所だが、新幹線開業効果も徐々に感じている」と話しています。

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