バビーズのブランチメニューは、朝ごはんと昼ごはんを兼ねるボリュームメニュー(筆者撮影)喫茶店やレストランが、朝の時間帯にドリンクやトーストなどのメニューを割安価格で提供するモーニングサービス。名古屋の喫茶店が始めた文化とされていますが、最近では大手外食チェーンも数多く提供しています。そんなチェーン店の外食モーニングをこよなく愛するライター・ブロガー、大木奈ハル子さんがお届けする本連載。第74回となる今回、訪れたのは「バビーズ」です。

ひそかに飲食チェーンがしのぎを削っているジャンル、それがモーニングです。カフェやハンバーガーショップ、おそば屋さんなどはもちろんのこと、最近では焼肉店やラーメン店など多種多様な店舗が独自の朝限定メニューを展開しています。

今回ご紹介するのは、アメリカNY発のレストラン「Bubby's(バビーズ)」。アメリカの家庭料理をカジュアルに日本では東京の赤坂アークヒルズや二子玉川や汐留、横浜のランドマークプラザなど、おしゃれスポットに6店舗を展開しています。

今回ご紹介するのは「バビーズ」のブランチ。すべての店舗で土日祝日のみ「ブランチメニュー」を提供しています。休日の遅がけにぶらりと立ち寄りたい、アメリカンスタイルの遅めの朝食を楽しめるお店です。

バビーズのブランチは大人気メニュー、開店からすでに満席

バビーズはアメリカの家庭料理を日本で味わえる人気店です。店頭の食品サンプルたち(筆者撮影)

「バビーズ」のバビーは、おばあちゃんという意味で、アメリカのおばあちゃんの味を再現したメニューが揃っています。

【画像】そこそこお高めの「1900円」美味そうだけど、その実力はいかに? 「バビーズ」ブランチのその他の画像を見る(15枚)

看板メニューはアップルパイ、そのほかにもエッグベネディクトやパンケーキに、ハンバーガーにグラタン(メニュー名はマカロニチーズプレート)など、アメリカの家庭料理を食べられるお店です。

筆者が訪れたのは、港区のオフィス街にある超高層ビルの商業エリアに出店している店舗です。日曜の朝10時すぎ、サラリーマンやOLがほとんどいないため街は閑散としています。

「こんな朝早くに誰もこんなとここないよなぁ……」

そんなふうに思いながら、ガラガラの店内を予想して入店したところ、開店直後に訪れたにもかかわらず店内は満席でした。

予約プレート代わりのリンゴのオブジェ。小さな演出まで心憎いです(筆者撮影)

厳密にいうと席は半分ほどしか埋まっていないのですが(100席以上ある大型店舗で朝10時に半分埋まっていることにも驚いたのですが)、空席に見える席にもすべて予約の印であるリンゴのオブジェが乗っているのです。

「11時半までのご利用でよければ……」と、時間の区切りアリで誰かが予約した席に座らせてもらえました。

バビーズのブランチメニュー

「バビーズ」のブランチメニューの販売時間は、開店時間の朝10時から15時55分までと長め。昼下がりでもブランチが楽しめるおおらかさがアメリカっぽい気がします。

以前はモーニング専用のメニューがあったようですが、残念ながらなくなってしまったようで、現在はブランチメニューに統一されています。まあ、ブランチには「遅めの朝ごはん」という意味合いもありますし、わかりやすいっちゃわかりやすい。

(筆者撮影)(筆者撮影)

「バビーズ」のブランチメニュー、バビーズブランチプレートは5種類。

・バビーズブレックファースト 税込1500円
・グリドルスペシャル 税込1650円
・エッグベネディクト 税込1500円
・ヌテラパンケーキ 税込1650円
・ソテーバナナとピーカンナッツのパンケーキ 税込1500円

すでに価格設定はすべて1500円以上と一見するとお高めですが、どれもボリュームは抜群です。モーニングとランチを合体させたブランチならではの食べごたえを、たっぷりと味わうことができます。

バビーズのブランチメニュー、エッグベネディクト1500円(筆者撮影)

※平日のランチメニューにも「バビーズブレックファースト」は記載されているため、土日祝だけでなくウィークデイにも注文できます。

グリドルスペシャル1650円は、バターたっぷりベーコンカリカリ

今回オーダーしたのは、「グリドルスペシャル」税込1650円です。看板メニューの「バビーズブレックファースト」のトーストを、パンケーキに変更した豪華なワンプレートメニューです(※なぜ、タイトルで1900円としたかは、後でわかります)。

バビーズのブランチメニュー、グリドルスペシャル1650円(筆者撮影)

「マックグリドル」しかグリドルに聞き覚えがないため調べてみたところ、グリドルとは鉄板の意味で、アメリカではパンケーキのことをグリドルケーキと呼ぶこともあるそう。

お皿に乗っているのは5品。

・パンケーキ
・スクランブルエッグ
・クリスピーベーコン
・ホームフライ(じゃがいものフライ、サラダと変更も可能)
・ソーセージてんこもりなおかずたち。ホームフライだけでもお腹いっぱいになりそうな量が入っていました(筆者撮影)

すべてグリドルで調理した、バターの香りが鼻をくすぐるボリューミーな1皿です。写真では伝わりにくいかもしれませんが、お皿のサイズが想像の1.5倍ぐらいあり、これぞアメリカの朝ごはんという感じ。

早起きしてでも来たくなる特別なブランチ

赤茶けたレンガの壁に、古材加工した大きめのテーブルと茶色いレザーのボックスソファ。

古き良きアメリカの香りが残るブルックリンスタイルのインテリアの店内は、どこか懐かしくて、早起きしてわざわざ来る意味を感じられるほどおしゃれです。

アメリカンなケチャップ&マスタードスタンド。古レンガの深い色合いと、温かい木肌が優しい木製のテーブルがNYっぽいインテリア(筆者撮影)

筆者は斜に構えた人間なので、食べる前は「価格が高いのは店がおしゃれだからだろう。店が混んでいるのは食事がインスタ映えするからだろう」と邪推していたのですが、私の考えは間違っていたと一口食べて確信しました。

早起きしてでも来たくなる、予約してでも食べたい、朝から1650円払ってでも食べる価値があるブランチプレートがここにありました。

甘いとしょっぱいのハーモニーがたまらない絶品ワンプレート

「控えめ」という概念のない、すべてがトゥーマッチなメニューたち。そしてそれが日本ではなかなか巡り合わないタイプのおいしさなのです。家で料理してもこの味にはならない、アメリカのおばあちゃんのレシピ。

こんがりパンケーキにたっぷりのハニーシロップをかけていただきます(筆者撮影)

たっぷりのバターで焼いたパンケーキは表面はこんがり、中身はしっとり。たまごをたっぷり含んでいる、優しい味がします。たっぷりのハニーシロップをかけていただきます。

そして、スクランブルエッグもバターたっぷり。オレンジに近い黄色の濃厚な卵を絶妙な火加減で仕上げています。パンケーキのハニーシロップが少ししみた部分が、意外にもおいしくて癖になりそうです。

フォークで刺せないほどのカリカリ具合に驚いた、クリスピーベーコン(筆者撮影)

ベーコンはこれでもかというほどカリカリに焼いてあり、もはやジャーキーレベルのクリスピー具合。かむほどに、燻された香りの良いベーコンの旨みが口の中に広がります。

パンケーキと一緒に食べると、甘いとしょっぱい、ふわふわとカリカリのコントラストのある味わいで、足し算のおいしさを満喫できます。

日本でアメリカのおばあちゃんの味を堪能

ソーセージは粗挽きスパイシー。プリっとかパリっとかそういうおなじみの粗挽きソーセージよりもさらに肉感が強く、ミシッと詰まってもちもちした食感です。

おなじみの粗挽きソーセージとはちょっと違う、もちもち感のあるソーセージ(筆者撮影)

こう書くと「あんまりおいしくないんじゃないの?」と思われてしまいそうですが、さにあらず。ぶつ切りにした肉を詰めたような素朴な味わいで、かむほどにおいしさが口のなかに広がる、今まで知っているソーセージとは違ったおいしさがありました。

じゃがいも内側のホクホク感と外側の香ばしさがおいしいホームフライ。皮付きで風味豊かです(筆者撮影)

ホームフライは、皮付きのじゃがいもをカリッと焼いて、粗くマッシュしてありました。一緒に小ネギがちらしてあります。バターと塩とこしょうのシンプルな味付けのはずなのに、何か気付けない隠し味があるのか、日本のじゃがいも炒めとは一線を画したアメリカの味がします。

まわりを見回しても、誰もが満足気な表情で食事を頬張っていました。「うん、そうなるよね」と、ほっぺもすでに落としながらうなずく筆者です。

ハイボールで朝食を食べる贅沢すぎる休日

「バビーズ」のブランチメニューは、ドリンクがセットになっていないため、別途注文する必要があります。ドリンクメニューも、「オーガニックホットコーヒー」が税込550円、「オーガニックダージリン」が税込600円とソコソコなお値段がします。

ハイボールと贅沢プレートを味わう、幸せな朝ごはんです(筆者撮影)

なぜか不思議なことに「ハイボール」と「スパークリングワイン」は税込250円と、大衆居酒屋のような価格でした。「今日は日曜日だし、節約にもなるし」と、脳内で自分で自分に言い訳して、「ハイボール」を飲むことに。

お世辞にもヘルシーとは言いがたい、こってりしっかりな味付けのメニューばかりなので、お酒の肴にぴったりです。甘いとしょっぱいを交互に食べては、「ハイボール」で流し込む。シュワシュワとした炭酸で口の中がリセットされ、ほんのりいい気持ち。なんと贅沢な朝食でしょう。

気になる総額ですが、1650円に250円で、1900円と相成った、というわけでした。でも、この多幸感で1900円は、むしろ安く思えてきます。

看板メニューのアップルパイ。ケーキのショーケースにはさまざまな種類のアップルパイが並んでいました(筆者撮影)

11時には店内はほぼ満席になり、店の外には順番待ちの行列ができています。店内には1人客はゼロ。カップルと女友達で埋め尽くされています。これから街へ繰り出すであろう彼女らを横目に、ちょっと自堕落で、うんと幸せな朝を味わう「バビーズ」のブランチ。

今回は時間制限で11時半までに退店する必要があったため1杯で切り上げましたが、「次回はブランチプレートをあてに、もうちょっとじっくり飲んでみよう」と心に誓う朝でした。

編集部注:本記事に登場するメニューの価格は、すべて取材時点のものです。昨今の円安、原材料高騰などの影響を受けて価格が改定されている可能性があります。また、店舗によってモーニングの値段・内容は異なる場合があります。画像をクリックすると本連載の過去記事にジャンプします

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