2020年以降に世界的に流行したコロナウイルスは私たちの健康管理や働き方に変化をもたらし、改めて健康の大切さを実感した方も多かったのではないでしょうか? 初めまして。作業療法士の長嶺です。脳卒中やがんの方々の仕事復帰、腰痛や頭痛などの方々のアドバイスに携わり、特にコロナ以降、健康と経済の関係の深さを実感した経営者の1人です。これから「健康経営」についてお伝えする本稿が少しでもお役に立てればうれしいです。

 さて、「健康経営」とは「従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する経営手法」を意味し、ロバート・H・ローゼンによって提唱された「ヘルシー・カンパニー構想」がベースとなっています。米国では1980年代から90年代にかけて社会保障費負担軽減の機運が高まり、医療負担するより従業員の健康を維持・促進することを目指す方が企業の負担額が軽く、労働生産性と企業価値も高まることから、デュポンやIBMなど名だたる企業が「ヘルシー・カンパニー」構想を経営に取り入れ、不況でも大きく業績を伸ばしました。

 従業員の心身への健康作りにとどまらず、キャリア開発、後継者育成、女性従業員への対応や育児、定年退職者への施策などさまざまな取り組みがあり、現在の日本の抱える人材不足や事業継承、男女共同参画などの課題解決の大きなヒントがつまっています。

 日本でも2013年に日本再興戦略が閣議決定され、「健康経営」の取り組みがスタートしました。弊社は“健康経営サポート事業”を提供しておりますが、「健康経営はある程度余裕がある会社がやるものでしょう」とのお声を頂くことがあります。ですが、部署や業務が細分化している大企業よりも、中小企業の方が健康経営理念が行き届きやすく、健康投資効果が得られやすいことがわかっています。次回は負担なく導入できる公的支援ツールなどの情報を含めた日本の「健康経営」についてお伝えしたいと思います。どうぞお楽しみに。

 (ステラヘルスジャパン代表)

次回は野原真麻氏(アイランドワークス代表)です。

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