順調に建設が進む工場棟=26日午後、北海道千歳市(坂本隆浩撮影)
(前列左から)鈴木直道知事、ラピダスの小池淳義社長と清水敦男専務

北海道の鈴木直道知事は26日、北海道千歳市で進んでいる次世代半導体製造会社ラピダスの工場建設現場を視察した。現地を訪れるのは昨年9月の起工式以来で、建設現場に近い見学ハウスから作業の様子を眺めた鈴木知事は「(着工前の)昨年3月に訪れたときは木々が生い茂り、何もなかった。短い期間でよくここまできたというのを強く実感した」などと期待を示した。

同社の小池淳義社長と清水敦男専務が工事の進捗(しんちょく)状況などを説明。工事は順調に進んでいるといい、計画している来年4月の試作ライン稼働も予定通り実施できる見通しなどを示した。

鈴木知事は「2027年の量産開始を見据えた中で、予定通り来年春にパイロットライン(試作ライン)を稼働することが非常に重要。北海道として用水や道路などのインフラ整備を着実に前に進めていきたい」などと強調。さらに、北海道における半導体関連産業の実現と継続に向け、研究と人材育成・確保を一体的に進める複合拠点づくりも進めていく考えを示した。

同社によると、工場は昨年9月に千歳市美々地区で着工。建築面積は約5万4千平方メートルで、地上4階建て。現在は1日あたり最大4500人の作業員が従事しているが、内装工事が始まる8月ごろには最大6千人まで増える予定という。12月ごろには製造設備の搬入も始まる見通し。

ラピダスが2027年の量産開始を目指しているのは、世界でも量産化技術が確立されていない回路線幅2ナノメートル(ナノは10億分の1)レベルの最先端半導体。AI(人工知能)技術の広がりとともに、スマートフォンや車の自動運転技術の進化に伴い、次世代半導体の需要は急速に高まるとみられており、国産の次世代半導体製造拠点に位置付ける考え。現在建設中の工場は「IIM(イーム)1」と呼ばれ、将来的には第2工場の建設も視野に入れている。

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