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 スイスとイタリアがアルプスの名峰「マッターホルン」付近に引かれた国境の一部を変更する。国境線の目印とされてきた氷河の融解が進んだためだ。

 スイスの氷河は夏の暑さなどにより今年だけで全体の2.5%が失われ、2022年には6%が消失している。9月にスイスを訪問したTrusted CEOのファリザ・アビドヴァ氏は氷河融解について「日本も他人事ではない」と指摘する。その真意を聞いた。

 ファリザ氏は氷河融解に対するスイスの「対応」について「一人ひとりが気候変動について自分事と捉え、アクションを起こしている。さらに、行政・アカデミア・大企業・スタートアップも力を結集してソリューションを社会実装すべくスピーディに動いている。特に印象に残ったのは、民間企業であるスイスコムとUBS銀行が10兆円のファンドを作ってカーボンニュートラルなどのイノベーションをテーマにスタートアップ支援などを行っていたことだ」と説明した。

 なぜスイスはこれほどまでに高いモチベーションを持ち、スピーディに動くことができるのか? ファリザ氏は以下の2点で説明した。

「まずEUが環境に関する新しいポリシーやレギュレーションをどんどん出すため、企業側もスピーディに対応しなければならない。その見返りとして政府は業界に補助金を出したり、インセンティブを作ることで導入しやすい環境を提供している」

「消費者、特に若者はしっかりとリサーチして環境にいい商品を選んでいる。そして企業間の営業活動においても『どれだけCO2を減らして環境に良い取り組みをしているか』というレポートの提出が求められるのだ」

 ファリザ氏はそんなスイスに比べ「日本は受け身であり、大企業がもっと積極的に参加してファンドを作りスタートアップエコシステムを盛り上げる必要がある」と強調。

 さらに、大企業が積極的になれない理由については「サステナビリティというビジネスはまだ儲からないからだ」と説明した。

「成功している『プロセス』は出てきているがまだ儲かったという事例は乏しい。サステナビリティのビジネスは2年続ければ儲かるというものではなく、10年スパンでのトライ&エラーが必要だ。そのため、投資してチームを作って予算をつけることが難しい」

 そんな“環境後進国”ともいえる日本に対しファリザ氏は「将来、海外にものが売れなくなる」と警鐘を鳴らす。

「今はいいかもしれないが、(環境への対応を怠れば)あと5〜6年で日本のものやサービスが海外で売れなくなるかもしれない。だからこそ、今からアクションを起こすべきだ」
(『ABEMAヒルズ』より)

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