上場企業が早期希望退職者を募る動きが加速している。民間調査会社の東京商工リサーチによると、「早期・希望退職者」の募集人数が今年1月から4月下旬までで3724人と、既に前年1年分(3161人)を上回り、年間1万人のペースで進んでいることが分かった。同社は「企業は賃金上昇による固定費を抑制し、構造改革を促進させている」と指摘している。
早期・希望退職者を募集しているのは21社。業種の内訳は「情報通信」と「電気機器」が最多で各4社。次いで「サービス」が3社、「食料品」と「アパレル関連」が各2社だった。
「情報通信」と「サービス」では、新型コロナ禍で需要が拡大した部門で、余剰人員の削減の動きがあるという。「電気機器」は2023年は通年で5社が実施。24年は既に昨年に迫る4社となっている。東京商工リサーチは「本格的な構造改革に乗り出している」とみている。
募集人数でみると、前年同期比の約3倍の水準に達する。「1000人以上」が「資生堂」と「オムロン」の2社。そのほか「500~999人」(1社)、「100~499人」(2社)などで、「未定、非公開」(6社)としている企業には「ソニーグループ」と「コニカミノルタ」が含まれている。
東京商工リサーチは、昨今の経済環境の変化で、企業は事業セグメント(部門)の見直しや祖業からの転換を迫られていると分析。「早期・希望退職者の募集はさらに加速する可能性が高い」としている。【嶋田夕子】
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