半導体製造の過程で発生する産業廃液のリサイクル拠点が2026年に九州で初めて北九州市戸畑区に設置されることになり、設置企業と市が26日、立地協定を締結した。台湾の半導体受託製造大手「台湾積体電路製造」(TSMC)など半導体関連の工場建設・設備投資が進む九州地区での需要を見込み、外国からの輸入が主体となっている半導体製造に必要な原料の国内循環を目指す。
工場は、溶剤リサイクル大手・三和油化工業(愛知)と化学薬品販売のエア・ウォーター・マテリアル(東京)が合弁会社「サンワマテリアルソリューションズ」を設立して稼働させる。廃液を受け入れて新品に近い品質まで精製し、再生した製品を販売、再利用する。
三和油化工業によると、九州で排出された廃液の大半が燃焼処分されている。リサイクルすれば総量の6~7割が再生製品として活用でき、残りも再生燃料やセメント原料になるという。
新工場稼働後は年間1万トンの廃液受け入れを目指し、随時事業を拡大していく方針。同社の柳均社長は「輸入依存度の高い材料調達のリスクの軽減、コストの最適化、持続可能な開発目標(SDGs)を実現したい」と述べた。
北九州市は半導体関連産業の集積や環境産業育成に力を入れており、武内和久市長は「市の特性、方向性とも合致したありがたい進出。九州全体の半導体サプライチェーン(供給網)強じん化につながると確信している」と歓迎した。【山下智恵】
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