公正取引委員会の看板。公正取引委員会などが入る中央合同庁舎第6号館B・C棟で=東京都千代田区霞が関で2019年、本橋和夫撮影

 公正取引委員会は2日、急成長する生成AIの関連市場の実態調査に乗り出したと発表した。技術力の向上が著しいため、独占禁止法や競争政策上のリスクを事前に提示して意見を募集する初めての手法を導入。米IT大手が開発を主導する中、半導体や専門人材などの動向を確認し、健全な競争を促すのが狙いだ。

 公取委は同日、競争上のリスクを示した資料を公表した。11月22日まで事業者や利用者から意見を募り、聞き取りと合わせて分析する。結果は随時取りまとめ、来春にも第1弾の発表を予定している。

 生成AIの開発には、高速のデータ処理に適した半導体や事前学習に必要な膨大なデータが不可欠だ。公取委はこうした資源の確保が妨げられれば、新規参入の機会が失われる恐れがあると指摘。生成AI向け半導体は米エヌビディアが世界シェアの約8割を占め、データも一部企業に集中していると懸念する。

 公取委はその他、資金力に勝るIT大手が専門人材を囲い込むことや、生成AIの推論により自社の商品やサービスを優遇するといった五つのリスクを挙げた。(共同)

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