みずほ信託銀行の笹田賢一社長=東京都千代田区で2024年3月26日午後3時44分、福富智撮影

 4月1日に新社長に就任したみずほ信託銀行の笹田賢一氏は「社会課題の解決にも貢献できる信託の素晴らしさを社員らに伝えたい」と意気込む。

 その原体験は、30代前半に関わった「貯蓄の達人」という個人向け信託商品の開発までさかのぼる。企業の資金調達ニーズに応えるため、信託を受けた個人の資産を運用するのが特徴で、信託を介して企業と個人を結びつけた。今も主力商品のひとつだ。仕事に没頭する中で、信託の専門性を高め、自身の成長を実感できた。「その喜びは今もずっと生きている」と振り返る。

 少子高齢化が進む中、次世代に資産を継承するニーズは高まっている。企業の後継者問題などを解決する「事業承継」と、個人の資産を次世代につなぐ「資産承継」分野を強化し、競争力を高める。そのために承継コンサル業務にあたる社員の専門性の向上を図り、彼らを支援するサポートデスクの人員の倍増などを急ぐ。笹田氏は「みずほ信託は、社会課題への解決策を提案するコンサル集団だ。『承継のみずほ信託』を確立したい」と強調する。

 米沢藩主の上杉鷹山の言葉「なせば成る なさねば成らぬ 何事も 成らぬは人のなさぬなりけり」がモットーだ。笹田氏は「できないのはやらないだけだ。まずはやってみることが大事だ」と話す。【福富智】

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