荷物を指定住所まで届ける「ラストワンマイル」を担う軽貨物ドライバー=東京都渋谷区で2024年6月7日午後5時13分、中島昭浩撮影(画像の一部を加工しています)

 今年4月からトラック運転手の残業規制が強化された物流業界。隙間(すきま)時間のアルバイトマッチングサービスを手掛ける「タイミー」(東京都港区)が実施した全国の運送業者などに対する調査で、規制強化に伴う人手不足など「2024年問題」に直面した会社の約半数がまだ対応できていないと回答した。

 対応完了のめどが立たないという会社も多く、規制強化から約半年が経過した現在も混乱が残っていることが浮き彫りになった。

 調査はタイミーに登録する運送業者など442社を対象にインターネットで実施。7割近い298社で、2024年問題への対応が「発生した」という。

 人員確保など対応が完了した時期を尋ねると、規制強化前に対応を終えた業者は約4割にとどまった。対応完了時期を「9~12月」(7%)、「25年1月以降」(3%)と示した会社も」あったが、38・6%は「現在対応中だが完了のめどが立たず」と答えた。

 こうした状況に現場の不満も高まっているようだ。規制強化によって▽燃料・資材価格▽人件費▽作業人数▽給与▽業務量――などが「増えた」という回答が目立った。

 「働きやすさ」に影響はあったかを聞くと、67%が「変わらない」。「働きやすくなった」は計6・6%にとどまり、「働きにくくなった」(26・4%)を大きく下回った。

 2024年問題によって企業は新たなドライバーの確保などコスト増を強いられている。従業員にとっても新たな規制下の業務に対応を求められており、問題の解消にはしばらく時間がかかりそうだ。

 その一方で、前向きな動きも確認できた。自由回答の意見を見ると「配送の遅れ」などを懸念する声とともに、「限られた時間の中で作業効率を上げる意識が定着しつつある」「ドライバー、事務職間で意見交換がしやすくなった」などといった声も。

 また、タイミーの担当者によると、「スポットワーカーの利用をきっかけに職場環境の改善ができた例もある」と話す。初心者のアルバイトでも働けるよう業務を細分化するなど運用を見直したことで、社員の大幅な残業時間削減につながった企業もあるという。【嶋田夕子】

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