GW最終日、到着する人々で賑わう羽田空港国際線ターミナル=2023年5月7日、羽田空港(鴨志田拓海撮影)

新型コロナウイルスが5類に移行して初めてのゴールデンウイーク(GW)を27日からに控え、航空各社の国際線予約が好調だ。全日本空輸(ANA)のハワイ便が前年比1・5倍と過去最高の予約数を記録するなど、人気のエリアで旅行需要が急回復を見せる。円安や海外での物価高が影響し、コロナ前水準にはまだ遠いとの見方もある。

航空各社のGW期間中の予約状況では、ANAの国際線予約が前年比13%増の約19万人、日本航空が9%増の約18万人にとなった。格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーションに至っては約7万人と83%増加している。コロナ禍で海外旅行を我慢した反動もあり、「お客さまの旅行意欲の高まりを強く感じる」(ANA担当者)。

コロナ前の8~9割に

羽田空港はGW(4月26日~5月6日)期間中の国際線ターミナル利用客について出発到着合計で前年比32%増の約67万人と推計しており、空港の大混雑が見込まれる。

一方で、GWの国際線の回復について、航空・旅行アナリストの鳥海高太朗氏は「インバウンドの利用客もおり、日本人の海外旅行者はコロナ前水準に戻っていない」と指摘する。旅行大手JTBの見通しでも、GW中の海外旅行者数は52万人と見込まれており、天皇陛下のご即位に伴い10連休だった令和元年を除き、コロナ禍前の8~9割程度の回復だとしている。

韓国や台湾など人気

また、旅行先によっては回復具合にばらつきも見られる。ANAの北米線予約は前年比5%減少した。日航でも東南アジア方面の予約が16%減っている。JTBの見通しでも、元年には東南アジアや欧州などに旅行する意図が多かったが、今年は韓国や台湾など東アジアの人気が高い。

歴史的な円安に加え、欧米では物価高の影響で旅行費用が高騰。比較的費用が少なく済む近場の旅行先にトレンドが移った。鳥海氏は「国内の賃上げや円高が進まないと、海外旅行を望む日本人には厳しい状況が続く」との見方を示した。(重川航太朗)

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