オープンAIとチャットGPTのロゴ=東京都千代田区で2023年11月27日、渡部直樹撮影

 米新興企業のオープンAIが非営利組織から営利目的の企業形態への転換を検討していると26日、複数の米メディアが報じた。生成人工知能(AI)「チャットGPT」の開発を支えてきた幹部の退社も相次いでおり、経営戦略が曲がり角を迎えている。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、オープンAIはパブリック・ベネフィット・コーポレーション(PBC)という公益重視の企業形態への変更を検討している。非営利部門も残す複雑な形態のため、移行には数年かかる可能性があるという。

 オープンAIはもともと「人類全体に利益をもたらす」との理念で設立された非営利組織。2019年に研究費不足のため民間企業から資金を受け入れる営利部門を設立したが、利益配当に上限を設けるなど通常の企業とは異なる組織形態を続けてきた。

 AIの開発促進には巨額の資金が必要で、オープンAIは最大65億ドル(約9000億円)の資金調達をマイクロソフトやアップルなどと交渉しているとされる。この交渉を前進させるためにも、利益配当の上限撤廃など体制の変更が必要になったとみられる。

 一方、オープンAIはサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)を支えてきた技術部門トップのミラ・ムラティ氏が25日に退任すると発表。アルトマン氏は、別の2人の幹部も退任を決めたと明かし、「3人とも友好的な決断だった」と円満退社を強調した。

 オープンAIでは23年11月に経営路線の対立が原因とみられるアルトマン氏の解任騒動が発生。社員らの要望を受けすぐにアルトマン氏はトップに復職したが、今年5月以降、共同創業者が退任するなど幹部の流出が続いている。【ワシントン大久保渉】

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