2024年4月1日から事業者による障がいのある人への合理的配慮が義務化されました。障害者差別解消法の改正で実現されたものです。合理的配慮とは、障がいのある人が日常生活や社会生活で直面する困ったことを取り除くための具体的な対応です。

 わが社には4人の障がいのある従業員が在籍しています。仕事の内容を細分化して指導できるように工夫しながらそれぞれの特性に合わせた配慮を行っています。支援学校からの実習訓練中は野菜のカット作業から始まります。冷凍インゲンを同じ長さに切ってもらうのですが、ガイドラインを引くだけでは難易度が高いので野菜用カットの型枠を作りました。ステンレスの四角の枠で片方が開いています。長さがふぞろいの野菜の飛び出した部分をカットするだけです。おかげで初めてでも失敗することがなくなりました。

 できたことの喜びを感じることも大切だと思いますし自己肯定感のアップが次の仕事への成長につながります。工場内には高齢のパートさんもいて作業補助や指導をお願いしています。そして荷出しや箱詰めなどに若い障がい者が力を発揮してくれます。さらに検品作業でも若い視力が役に立ちます。お互いにカバーすることで仕事が成り立っているのだと感謝します。

 創意工夫を続けると社内の合理化につながっていくものなのです。以前から勤務時間やバスの時間に合わせた出勤時間の配慮を行っているのですが、これは全ての従業員も同様です。DX導入の際に声で登録するシステムを提案したのも、パソコンが苦手でもセリフを覚えれば登録作業ができるという合理的配慮です。手を使わない衛生面と二つをクリアできました。

 企業の成長に必要なことは人材です。働き手が少ない中、多様性に対応できることが企業の社会的責任と言えます。創業から40年過ぎても経営の課題は山積みですが、地域に必要とされる会社になれるよう、そして働く人が、幸せを感じる会社になるようみんなで頑張っていきたいと願っています。(仲松ミート執行役員)

 次回は福島知加氏(ワダチラボ社長)です。

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