(ブルームバーグ):米エヌビディアの動向に神経をとがらせている投資家は、次世代人工知能(AI)半導体「ブラックウェル」のリリースが最近の株価下落に歯止めをかけるきっかけになると期待し、最新情報を待っている。

ブラックウェルは6カ月前に発表されたが、技術的な問題でリリースが遅れている。ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は8月、この半導体の収益化は近いと述べて市場を安心させようとしたが、一部の投資家は詳細な情報を望んでいた。広範なマクロ経済への不安も重なり、エヌビディア株は決算発表から15%下げた。

エヌビディアCEO、新チップの潤沢な供給を予想-増産も可能

フアン氏は11日、サンフランシスコで開催されるゴールドマン・サックスの会議で登壇する。ブラックウェルに関する疑問が重要な焦点となるだろう。同氏は現地時間午前7時20分(日本時間午後11時20分)からゴールドマンのデビッド・ソロモンCEOと話す予定だ。

エヌビディア株の推移

他にポジティブな材料がなく、ハイテクセクター全体を襲う広範な懸念と相まって、ブラックウェルの出荷遅延はエヌビディアがあまりに速く、あまりに大きく上昇したとの懸念に拍車をかけている。

ザックス・インベストメント・マネジメントのクライアントポートフォリオマネジャー、ブライアン・マルベリー氏は、エヌビディアが市場の期待をうまく制御しているとしながらも、「特にブラックウェルの問題に関しては、もっとうまいコミュニケーションができただろう」と述べた。

バンク・オブ・アメリカ(BofA)のアナリストも同じ見解で、ブラックウェルの出荷準備に関する詳細がエヌビディア株回復の重要な材料だと先週のリポートで指摘している。

エヌビディアは2025年初めまでに事態を収拾できると表明しており、マルベリー氏は「なお予定通りに進んでおり、これ以上生産が遅れることはないと明確に伝えることができれば、短期的な不安をある程度は和らげることができるだろう」と述べた。

それでもブラックウェルがさらなる遅延や障害に直面すれば、株価の下落圧力が強まる可能性がある。特にけん引する材料が他にほとんどない状況で、米司法省の反トラスト法調査に関連する潜在的なリスクがあるためだ。

ハンティントン・ナショナル・バンクのポートフォリオ・マネジャー、ランディ・ヘア氏は、短期的にエヌビディア株は下振れ圧力に直面する可能性の方が高いとの見方に賛同する。それでもAIの長期的な可能性を信じる投資家にとっては、ポジションを追加する良いタイミングになるかもしれない。

「恐らくサイクル半ばの調整過程にあるのだろう。これが市場で最高の成長分野であることに人々が気づき、再び資金を投入し始める好機が訪れると思う」とヘア氏は述べた。

原題:Nvidia’s Blackwell Chip Delay Is Center Stage Amid Stock Slump(抜粋)

--取材協力:Jeran Wittenstein、Subrat Patnaik.

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