2024年8月、岩手県遠野市でビールの原料のひとつ、ホップの収穫を祝うイベントが開かれた。

ホップ農家の減少が課題となる中、「ホップの里からビールの里へ」をスローガンに、遠野のホップ栽培を守るための活動をカメラマンリポートで紹介する。

8月24日・25日に遠野市で「遠野ホップ収穫祭」が開かれた。
このイベントはビールと遠野の旬の食材でホップの収穫を祝うもの。

遠野ホップ収穫祭実行委員長 田村淳一さん
「遠野の宝 ホップを守るために、みんなで盛り上がり楽しむイベント。『ホップの里からビールの里へ』というのはプロジェクトのスローガン。ホップ栽培を守るためにビールを活用した街づくりやイベントをして盛り上げていくことがスローガンの意味。この収穫祭っていうイベントがそのひとつの形」

ホップはアサ科のつる性多年草でビールの原料のひとつだ。
黄色い樹脂の「ルプリン」がビール特有の苦みと香りの元となる。

冷涼な気候がホップの生育に適している遠野市は日本一の栽培面積を誇る国内有数の生産地だ。

2024年のホップ収穫作業は8月8日にスタートした。
市内21軒の農家が協力してすべての畑を回り、5m以上の高さまで伸びたツルを手作業で刈り取る。

遠野市では1963年にホップの栽培を開始し、1980年代には栽培面積・生産量がともに日本一になった。

しかし高齢化や後継者不足で農家が減少し、現在では栽培面積・生産量がピーク時の6分の1になった。

ホップ農家の減少に歯止めをかけるため遠野市では広く新規就農者を募集している。

遠野に移住したホップ生産者 中村友隆さん
「会社員の時によくクラフトビールを飲みに行っていたので、その時に遠野のホップ農家で募集があったので興味をもって応募した」

盛岡出身の中村さんは2018年に遠野に移住し、3年間ホップの栽培を学び現在は独立してホップを手掛けている。

遠野に移住したホップ生産者 中村友隆さん
「遠野の先輩たちが惜しみなく、その技術や知識を教えてくれるので、僕たちもそれを吸収して、栽培することができている」

刈り取ったツルは収穫センターに運び込まれ、品質の良いホップを選別して出荷する。
2024年は台風や豪雨の影響があったが、甚大な被害にはならずに済んだ。

ホップ生産者 宮澤利光さん
「どんな味のビールが出来るか、本当にこれだけは毎年味が違う。今年もおいしいビールが飲めると思いますよ」

8月24日・25日、ホップ収穫祭を訪れた人たちは陽気な音楽にのせて踊り、ビールを楽しむ。

参加者
「もう最高ですね。ビールもおいしいので」
「東京から来ました。色んな人がたくさん集まってお祭りみたいな気分を楽しめるのがいい」
「ホップ生産の方もなかなか難しい問題があると思うけど、どうにか維持してもらって、このイベントをずっと続けてもらいたい」

2024年は収穫作業の手を休めホップ農家も参加した。

遠野ホップ農業協同組合 理事 菊池光一さん
「一般の人と親睦を図るには大変いい場所だと思う。頑張りがいがあります」

遠野ホップ収穫祭実行委員長 田村淳一さん
「来年もまた参加したい、また来たいと思ってもらえれば、それがホップを守る力につながっていく。今一番やりたいのはホップの生産量を圧倒的に増やすこと。ただ、農業の話だけやっていてもできないことも多いので、こういうイベントをやったりとか町全体でホップ、ビールを盛り上げながら栽培現場の課題解決を進めていきたい」

「ホップの里からビールの里へ」をスローガンに地域が一体となり遠野のホップ栽培を守っていく。

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