「コンテンツ産業官民協議会」に出席する(左から)遠藤龍之介さん、大沢たかおさん、是枝裕和さんら=首相官邸で2024年9月9日午前11時2分、藤井達也撮影
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 映画やアニメ産業などの活性化や人材育成を議論する「コンテンツ産業官民協議会」の初会合が9日、首相官邸で開かれた。協議会のメンバーとなった俳優の大沢たかおさんや映画監督の是枝裕和さんらが出席。大沢さんは映画界の現状について「若者から敬遠される産業の代表になっており、良い人材が入ってこない。現場は疲弊している」と指摘し、労働環境の改善を強く訴えた。

 内閣官房などによると、日本は米国、中国に次ぐ世界3位のコンテンツ大国。市場規模は22年時点で13兆円を超える。海外での人気も高く、輸出規模では鉄鋼や半導体などに匹敵する有力産業となっている。

 ただ、「やりがい搾取」とも呼ばれる劣悪な労働環境が常態化。収益の多くが国内に還元されないなど課題も指摘されていた。

 政府は6月に看板政策「新しい資本主義」の実行計画を改定。政府に加え、放送業界幹部や映画監督ら各界を代表するクリエーターを招集した官民協議会を設置し、現状の改善に乗り出すことを決めた。

 初会合で、大沢さんは「昭和の時代の『根性』『やる気』は通用しない。外資も入ってくる中、感覚の変化が求められている」と強調。是枝さんも「(労働時間などの)基準を世界的な水準に改めていく必要がある。人材育成の一番の近道は制作現場の環境改善だ」と訴えた。

 岸田文雄首相は「労働環境や賃金の未払いといった側面で、クリエーターが安心して働ける環境が未整備だ」と認め、コンテンツ業界の支援強化に乗り出すと約束した。【古川宗、園部仁史】

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