ダイソーが販売する植物由来の原料を用いたルアー=ルミカ提供
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 100円ショップ「ダイソー」を展開する大創産業(東広島市)は、植物由来の樹脂を用いた環境配慮型の海釣りルアーを発売した。同社は近年、釣り用品の品ぞろえを強化しており、環境汚染軽減のため海中で分解する素材に着目している。第1弾としてルアーを商品化し、9月から全国で順次発売する。

 新商品は「リップレスミノー90」(220円)。全長90ミリ、重さ約10グラムで、漁港や河口でクロダイやスズキを狙う。ボディーには化学メーカー「ダイセル」(大阪市)の植物由来の樹脂を採用。木材や綿花で作られたバイオマス素材で、海中や土の微生物によって分解される。ダイセルによると、このバイオマス素材は使い捨て食器などに利用されているが、釣り具は初めてという。

 大創産業は、福岡県古賀市の釣り具メーカー「ルミカ」と約1年かけて開発し、耐久性や水中での動きを検証し、商品化にこぎ着けた。海中での分解の検証には長い時間がかかるため、商品には微生物による「生分解」は表記せず、「植物由来の原料」との表現にとどめた。今後は他の釣り具への応用も目指すという。

 釣りは、新型コロナウイルス禍以降の屋外レジャーとして注目される一方、ごみの投棄などが問題化した。海底や漁具に引っかかったプラスチック製のルアーは分解されず、環境汚染や漁業者のけがの原因にもなり、釣り具業界は対策を迫られている。

 釣り具を含むプラスチックの海洋ごみは世界的に問題視されており、ダイセルやカネカ(大阪市)といった素材メーカーは、バクテリアが分解する生分解素材の開発を競い、販路開拓を進めている。【久野洋】

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