JR米坂線の復活を目指し沿線住民とその機運を盛り上げようと、先日、小国町でイベントが開かれた。山形・新潟両県の知事が出席して鉄路復活への熱意が示されたが、復活に向けた現状は…。

JR米坂線は2022年8月の豪雨で被災し、現在も長井市の今泉駅と新潟・村上市の坂町駅との間が通れなくなっている。
この米坂線を復活させようと、8月にJR小国駅前で「米坂線復活絆まつり」が開かれた。
イベントでは沿線自治体の特産品の販売や、地元アーティストによるコンサートが開かれ、普段の小国駅には見られない約1500人という大勢の人でにぎわった。

(小国町民)
「小国町のこの駅(小国駅)自体は常ににぎわったりはしていないんですけれど、今回のにぎわいはなかなかないという感じ」

(小国町民)
「ぜひ復活すればいいなと思っているんですけれど、沿線に人とかも少ないし、難しいなとは思うが頑張ってほしいところ」

イベントには吉村知事と新潟県の花角英世知事も参加し、連携して復旧を目指す考えをあらためて示した。

(吉村知事)
「これからもいろんな困難は続くんですけれども、絶対やり遂げるんだという思いを持っていれば、必ずやり遂げることができる。米坂線は復活できると信じています。(新潟県知事と)2人で力を合わせてしっかり取り組んでいけると思っている」

(新潟県・花角英世知事)
「県・そして市町村・国を巻き込んで1日も早い復旧をみなさんと力を合わせて実現してまいりましょう。どうぞよろしくお願いいたします」

「絆まつり」が開かれたこの日は米坂線が1936年に全線開業した記念日でもあり、88歳の「米寿」を迎えた日でもあった。

(吉村知事)
「思った以上にみなさん、盛り上がって米坂線復活に対する期待が大きいなと実感した。一朝一夕では行かないと思っていますけれど、一念が強ければしっかり実現していけると思っている」

(新潟県・花角英世知事)
「もちろん機運の盛り上げだとか地域住民の思いをしっかりつかむ必要があるが、あとは知恵を出していかなければだめですね。そこがこれから。どんな知恵が出せるか」

新潟県の花角知事と話し合ったという吉村知事は、きょう(4日)の記者会見で米坂線の今後についてあらためて一緒に対応していく考えを明らかにした。

(吉村知事)
「花角知事と話をしたが、JRとの話し合い、そして公共交通機関でありますから政府への要望もしっかりと一緒にやっていこうとなった」

JR東日本は2023年4月、米坂線の復旧について元通りの復旧を目指した場合、費用が約86億円かかり工事開始から5年の期間がかかるとの試算を公表した。
また、ことし5月の会議でJR東日本は、復旧後の運営パターンとしてこれまで同様の「JRが運営」「上下分離方式」「第3セクターなどへの移管」「バス転換」の4つを今後の議論の土台として提示した。
一方で、JR単独による米坂線の運営は「厳しい」と難色を示している。

署名の呼びかけなど、米坂線復活の市民運動を早い段階から展開してきた江本一男さん。「絆まつり」に、集まった県民の関心の高さを感じたと言う。

(江本一男さん)
「火付け役という自負はあるんですけれど、沿線の各市町村・県も含めて力を合わせることによって大きなトルネードになってくると思う」

江本さんなどが中心となって活動している市民団体「JR米坂線開業100周年記念事業実行委員会」は8月、東北運輸局を訪れ「米坂線」の全面復旧と早期開通を要望する1万1533人分の署名を佐藤信之鉄道部長に提出した。
この市民団体は、先にJR東日本の社長あてに1万627人分の署名を提出していて、東北運輸局とあわせて約2万2000人分の署名を提出。JR米坂線の早期復旧に向け、国の予算の補助や不通区間の荒廃に対する環境美化を強く訴えた。

(置賜農業高校・白田栞歩さん)
「私は西米沢駅からの通学にJR米坂線を利用していますが、私たちはもちろん、不通区間から本校や米沢市内の高校に利用する仲間、さらにはこれから入学してくる後輩が不便や支障を感じないよういち早い復旧を心からお願いします」

署名の提出には置賜農業高校に通う高校生も出席し、早期復旧への支援を求めた。

(置賜農業高校・平光紗緒理さん)
「実際・置農に来る生徒で小国から来ている生徒もいて、バスの時間もあって部活が思うようにできないという人も多いので、早く復旧してほしいと思う」

(置賜農業高校・白田栞歩さん)
「たとえ今すぐ無理だとしてもいつかは復旧してほしいと思う。高校生だけでなく大人も使ったりするので、使えないというのはとても不便なので復旧してほしい」

米坂線の復旧に動く気配がないJR東日本に対し、地道な運動で復旧を求める市民団体。
しかし、JR東日本と沿線自治体が話し合う「米坂線復旧検討会議」は5月の開催以降、次の日程は決まっていない。復旧への議論は深まらず時間だけが過ぎ、米坂線の未来は見通せないままとなっている。

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