日本全体で年間およそ500万トンにも上る食品ロス。廃棄になる前に商品を売り切ろうと、コンビニ各社で「値引き」を強化する動きが広がっています。

■客「少しでも安いほうが」コンビニ大手で値引き 食品ロス削減へ

セブン-イレブン・ジャパンは、来月13日から食品ロス削減のため商品を値引きする取り組みを拡大させます。対象はサンドイッチ、弁当やおにぎりなど、およそ300品目。目印は「エコだ値」と書かれた緑色のシールです。

セブン-イレブン・ジャパン オペレーション本部 矢島弘樹 副本部長
「システムに『この時間に値引きしたら』という本部推奨の目安を流したり」

本部からのサポートのもと、廃棄となる数時間前に店舗の判断で値引きを行うということで、すでに行った実験では、廃棄商品の合計金額が1割減ったということです。

セブン-イレブン・ジャパン オペレーション本部 矢島弘樹 副本部長
「お客様と一体となって食品ロス、環境への貢献をしていきたい。買っていただいたら『ご協力ありがとうございました』という接客で迎えたい」

一方、ローソンでは、消費期限にかかわらず、商品を効率的に売り切るために値引きを行っています。そこで、一部の店で活用されているのが「AI値引き」です。

ローソン広報部 持丸憲さん
「店舗の状況に応じて値引き額・値引き時間を推奨することで、店の利益改善にもつながるし、併せて食品ロスの削減にもつながる」

商品の在庫数や天候、客数が多い時間帯などに基づいて、AIが店ごとに値引きを提案してくれるということで、今後は全国の店舗に広げていきます。


「少しでも安いほうがいい、味はそんなに変わらない感じがする。値引きで廃棄が減るというのは、気持ち的にも貢献できて嬉しい」

食品ロス削減に向けた取り組みが社会全体で求められています。

■「他の業界にも広がるか」セブン-イレブン“見切り品”値引き拡大へ

井上貴博キャスター:
セブン-イレブンは、▼2020年から販売期限が近い商品にシールを貼り、ポイントを5%還元するという取り組みや、▼2021年から「てまえどり」という商品を手前から取るよう呼びかけ、▼2024年3月からは手巻おにぎり5種の消費期限を平均約8時間延長するなどの取り組みを行ってきました。

これまでは値引きを行う判断は各加盟店に任されていましたが、本部主導で値引きを行っていくということです。スーパーなどでは普通に行われていることなので、「今更」と感じる人もいるかもしれません。

では、セブン-イレブン以外はどうなのでしょうか?

▼ファミリーマート:2021年から、食品ロス削減を掲げた値引き販売を全国で実施
▼ローソン:AIを活用した値引き品の判断を実施

経営コンサルタントの坂口孝則さんは、「食品ロス削減への取り組みは消費者にとっても店や商品を選ぶ基準のひとつ」と話します。「いわゆる“見切り値引き”をしたほうが、コンビニエンスストアでは売り上げがアップするというデータもある」ということで、そちらに舵が切られつつあるわけです。

ホラン千秋キャスター:
値引きがないコンビニエンスストアと値引きがあるスーパーでは、スーパーに客が流れることもあったと思いますが、こうした取り組みがあると客が分散しますし、良い取り組みだと思います。

井上キャスター:
コンビニエンスストアは、これまで「値引きするよりも廃棄する方が利益になるのでは」ということで廃棄する流れもあったようですが、大きく変わっていくかもしれません。

経営コンサルタントの坂口孝則さんは「業界最大手のセブン-イレブンが値引きを実施することで、他の業界にも広がっていくのでは」としています。

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