フォードの本社=米ミシガン州ディアボーンで2022年9月、大久保渉撮影

 米自動車大手フォード・モーターは21日、2027年に発売を予定していた新型電気自動車(EV)の開発計画を中止し、ハイブリッド車(HV)に切り替えると発表した。米国でEV販売の勢いが鈍る一方、HV需要が増えているのを踏まえた。計画変更に伴い、19億ドル(約2700億円)の特別損失を計上する見通し。

 中止するのは、スポーツタイプ多目的車(SUV)のEV開発計画。EVの販売伸び悩みで値下げ圧力が強まり、このまま開発を続けても採算が合わないと判断した。

 フォードはピックアップトラックの新型EVの発売時期も27年後半へ1年延期すると発表。赤字続きのEV事業への投資額を減らすと決めた。一方、商用車タイプのEV需要は底堅いとみて開発・販売計画を予定通り続ける。

 米コックス・オートモーティブによると、24年上半期の米国でのEV販売は前年同期比約7%増の約60万台。23年上半期が約47%増だったのと比べると、伸びの鈍化が鮮明になっている。環境意識の高い消費者によるEV購入が一巡し、市場では燃費性能が良く手ごろな価格のHV人気が強まっている。【ワシントン大久保渉】

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