職場などへ向かう通勤客ら=東京都港区で2023年3月13日、小出洋平撮影

 民間調査会社の東京商工リサーチは20日、2024年度に賃上げを実施した企業が全体の84・2%に上ったと発表した。2年連続で新型コロナウイルス禍前を上回る水準となり、賃上げ率が5%以上だった企業数も過去最高の水準だった。調査を実施した同社担当者は「大企業の賃上げの動きに対して、人手確保の観点から中小企業でも賃上げが進んだ」と分析している。

 調査は1~13日にインターネットで実施し、6899社が回答した。

 前年度と比べた賃上げ率(年収換算ベース)が「5%以上」だった企業は前年度比6・3ポイント増の42・6%で、同項目の調査を始めた20年度以降で最も高かった。規模別では資本金1億円以上の大企業が44・4%、資本金1億円未満の中小企業も42・4%だった。

 賃上げの内容では、物価高や人手不足を背景に、基本給を底上げする「ベースアップ」が61・4%と、前年度から5ポイント上昇した。

 一方、賃上げを実施した企業は、大企業が前年度比4・1ポイント増の94・0%だったのに対し、中小企業が1・3ポイント減の82・9%で、両者の差は11・1ポイントに広がった。東京商工リサーチは「人件費負担から中小企業の賃上げ疲れも見え始めている」としている。【妹尾直道】

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