若い世代に成田空港周辺に住んで空港で働く姿をイメージしてもらおうと、成田国際空港会社が体験ツアーの実施に向け、準備を進めている。機能強化が進む空港の人材確保につなげるための初の試み。今後、実施するツアーを前に、本番をシミュレーションした見学会が行われ、夏休みの大学生や外国人留学生ら男女21人が参加した。【合田月美】
見学会では、旅客ターミナルの国際線出発フロアや保安検査場、搭乗口を見て回った。駐機場では航空機の誘導や燃料の補給などの「グランドハンドリング」業務を見学した。参加者は専用車両によって手荷物などが整然と搭載されていく様子に感心していた。
参加者らは、空港のすぐそばにある千葉県成田市三里塚地区の天満天神社を参拝し、三里塚祇園祭にも参加。そろいの法被を羽織り、地元の人たちと力を合わせて山車を引いた。空港建設を巡る推進・反対両派の歴史を紹介する芝山町の「空と大地の歴史館」も訪れた。
ミャンマーから留学で浅草国際学院茨城校(茨城県鉾田市)に通う、シューン・レイさん(23)は「成田空港で働きたいと思った。まずはアルバイトから始めてみようと思う」と話した。客室乗務員志望の跡見学園女子大3年、金子彩花(あやか)さん(20)は「祭りに参加して空港と地域の強いつながりを感じた。将来は自分も関わっていけたらなと思った」と話した。
同社は2029年3月までに3本目のC滑走路(3500メートル)を新設し、既存のB滑走路(2500メートル)を1000メートル延伸する機能強化を進めている。一方、新型コロナウイルス禍に伴い、約2割が離職したとされる人手は戻っておらず、人材確保が課題となっている。
体験ツアーは秋には実施したい考えで、同社戦略企画室の片山敏宏室長は「(空港で働くことを希望している若い)当事者世代や三里塚の人たちの意見を聞きながら、空港でしかできない特別なメニューを用意したい」としている。
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