(ブルームバーグ):ソフトバンクグループにインド株式市場から熱い追い風が吹いている。4-6月期(第1四半期)決算が失望を誘ったことなどで自社の株価はさえないが、ムンバイ市場ではソフトバンクGが支援する3社が過去1週間で相次ぎ力強いデビューを飾った。
インド市場で約2年ぶりの大型新規株式公開(IPO)となった電動二輪車大手オラ・エレクトリック・モビリティーの株価は60%余り上昇。ソフトウエアメーカーのユニコマース・eソリューションズの株価もすでに約80%高、ベビー・子供用品販売会社ブレーンビーズ・ソリューションズも上場来で約40%上昇している。
IPOがさらに成功すれば、孫正義社長が目指す人工知能(AI)と半導体への大規模投資のための軍資金が積み上がることにもなる。同社は莫大な現金を有し、資産価値は傘下の英半導体設計会社アーム・ホールディングスの株価とともに膨れ上がっている。
ソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズのアレックス・クラベル共同最高経営責任者(CEO)はインタビューで、「インドで見てきたのと同じように、われわれのファンドからIPOが相次ぐのを世界で目にするようになるだろう」と指摘。「そうしたIPOで多少株式を売却したかもしれないが、われわれはこれら企業に全面的に投資している」とで語った。
ビジョン・ファンドはソフトバンクGの次の章に備え、孫氏の投資案件発掘に積極的な役割を果たしている。「テクノロジーの進化とともに、私たちも進化していく」とクラベル氏は述べた。
ビジョン・ファンド事業は4-6月期のセグメント損益が2043億円の赤字となっただけに、今回のインドでの連続IPOは明るい兆しとなった。また、電子決済サービス会社ペイtmや物流プロバイダーのデリーバリーなど、ソフトバンクGによるインドでの過去の投資が期待外れとなった後では安心材料でもある。
ソフトバンクGの株価は足元で回復しているが、7月に付けた過去最高値からはなお30%安い水準にある。
ブルームバーグが会社の開示情報に基づいて計算したところ、同社は最近のインドでの3件の株式売り出しで計1億5500万ドル(約230億円)を得た。ロックアップ期間を考慮すると保有株式からさらなる売却益を手にするのは先になるが、投資はまずは好調スタートを切ったと言えそうだ。
インド株式市場は大型IPOで活況を呈しており、投資家は韓国の現代自動車の現地部門が今後数カ月で予定する35億ドル規模のインド上場にも注目している。
原題:SoftBank Is Picking Stock Winners in India’s Red-Hot IPO Market(抜粋)
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