Dstyle group.代表の徳田充孝(撮影:宮澤正明)

<2024年からホールディングス化して次のステージへ。変わらないのは、徹底してお客様へ寄り添うその姿勢だ>

経営の仕事を始めて20年超、ホールディングス化への挑戦。

プロポーションづくりの総合コンサルティング企業として知られ、全国約740サロン(2023年末時点)を展開するダイアナ。今年1月からは、さらなる事業領域の拡大に伴い「Dstyleホールディングス」を頂点としたグループ経営という新たなステージに移行している。

1986年のダイアナ創業から38年というタイミングでのチャレンジ。陣頭指揮を執った代表の徳田充孝の頭の中には、「このままでは進化が止まってしまうのでは」という危機感があった。

「ダイアナで展開してきた事業に留まらず、『ココロとカラダの美と健康と豊かさ』を実現するにはさまざまなアプローチがあります。それを力強く成長させ推進していくには、ダイアナという『大樹』に寄り掛かるのではなく、事業部ごとに分社化して独立採算化することが必要と考えました」。

一方で、徳田自身が社長の責務と考えているミッションの実現にも避けては通れない道だという思いもあった。

「経営の仕事を始めて20年以上経ち、私も歳を重ねました。ダイアナを率いるようになって15年、後進の育成も手をつけていかなければなりません。社長にしかできない仕事、それは次の社長を育てることでもありますから。そもそもグループ経営のためには、何人かの社長を育てる必要がありますしね」。

そう語る徳田が、ダイアナに転じたのは2009年、42歳のときだ。上場アパレル企業をはじめ、さまざまな企業の事業立て直し・経営改革を断行してきた手腕を買われ、投資ファンドから「プロ経営者」として招聘されたのだった。

「それまでは経営に携わるとはいえ、あくまでサラリーマン社長。オーナーが別にいて最終決定権がなかったんです。どれだけ成果を上げても、うまく軌道に乗っても、思い通りにいかないこともありました。ファンド案件なら、バリューアップしてエグジットするのがミッションだからシンプルでいいかなと思ったんですね」。

アパレル業界も長く経験した徳田にとって、女性用補整下着のリーディングカンパニーとしての、ダイアナの存在は認知していた。経営をテコ入れして売上を伸ばしていけばいい。立て直しの経験はいくらでもある。自らの経営手法に対する自負もあった。しかし、この見立ては甘かった。

「新しいビジネスモデルを導入するなど、自信満々で改革に乗り出したんですが、一時は売上が前年比40%ダウンする局面もあって。『初めて会社を潰してしまうかも......』と頭を抱えました。当時約1000店舗あったフランチャイズサロンを通じてお客様に寄り添うという自社のあり方をしっかり理解できていなかったんですね。数字だけ見ていてもダメだなと改めて思い至ったんです」。

東京・渋谷区富ヶ谷に位置するDstyleホールディングス本社ビル。グループの中核を支える本丸だ

徳田の決断は早かった。自ら、全国行脚に動いたのだ。アパレルの経験を活かした新商品を手に、各地で相手が納得するまで話し込んだ。時には数時間に及ぶこともあったという。「理屈だけ説明しても伝わりません。直接時間をかけて納得いただくことで、安心してお客様と向き合っていただけるようになったんですね。新商品の展開に際しても、どんどん動いてくださるようにもなりました」。

徳田が打ち出した新商品は、当時は前例のなかったカラーコレクション。「美しさを追求するために身につけるものなんだから、可愛くなければダメだろう、というのが出発点でした」。

6色展開したコレクションは、3カ月で27億円という異例の売上を記録した。「これで徳田に任せれば大丈夫、そんな雰囲気になっていきましたね」。

テクノロジーも駆使して、徹底的にお客様へ寄り添う。

徳田は、2011年の東日本大震災の際にもサロンの力を目の当たりにする。「被災地ではサロンが、お客様にとっての拠り所、サードプレイスとしても機能していました。逆に勇気付けられました。我々が目指すのはこれだなと、志を新たにしたんです」。

「ココロとカラダの美と健康と豊かさ」の実現に向かって、できることは無数にある。事業のさらなる多角化とその先にあるホールディングス化に向け、指針も定まった。

もっとも、「徳田流」マネジメントの特色はウエットな部分だけではない。データを活用した効率化と新たな付加価値の提供にも余念がない。例えば、ダイアナの38年で蓄積した膨大な体型データの解析に基づく、AIボディプランニングやAI秘書、AIコンサルティングさらには3Dボディアナライザーの導入などはその最たる例だろう。社内でもChatGPTを2023年初頭の段階でいち早く導入し、サービス開発に役立ててきた。2024年からは、全社員が生成AIを活用できるよう、社内研修も拡充する。

「AIというツールは生産性向上のために欠かせません。そうしたテクノロジーを駆使しながら、お客様には感謝をもって真摯に向き合う。そこをブラさず、お客様の人生をより輝きのあるものにしていただくために、Dstyleグループはさまざまな角度から寄り添っていけるよう進化していきます」。


徳田充孝(Mitsutaka Tokuda)

Dstyle group.代表 Dstyleホールディングス 会⻑兼社⻑

1967年、大阪府生まれ。大手流通グループ会社社長、上場アパレル専務COOや英国国立ウェールズ大学経営大学院MBAプログラム終了等の経歴を重ね、2009年にダイアナ(現Dstyleホールディングス)へ入社。その後、執行役員、副社長を経て同年中に社長就任。2014年に純粋MBO。2019年から会長を兼務。現在、一般社団法人 日本プロポーション協会理事長、一般社団法人 日本ケアビューティー協会理事長なども兼任する。


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