「こどもまなびてれび」14日は「宮城と宇宙」です。実は、ここ宮城は宇宙と深いつながりがあるって知っていましたか?

宇宙に向けて飛び立つロケット!先月、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げに成功した、日本のH3ロケットです。その目的は人工衛星を大気圏外まで運ぶこと。地球と宇宙をつなぎます。そのH3の一つ前の世代の「H-2ロケット」の実物大の模型が角田市の中心部にそびえたっています。日本で初めての純国産大型ロケットで全長は49メートル!
これが角田市にある理由。それは日本の宇宙開発の中心、JAXAの施設が角田市にあるからです。角田宇宙センター富岡定毅所長が施設を案内してくれました。角田宇宙センターはロケットの「心臓部」とも言えるエンジンを研究・開発するとても重要な施設なんです。敷地の広さは東京ドーム37個分の170万平方メートル。

角田宇宙センター 富岡定毅所長
「ここはロケットエンジンの燃料と酸素を混ぜて燃やす「燃焼器」を試験するための設備です」

ロケットエンジンの仕組みはこうです。まず前に進む力「推進力」のもとは液体水素などの燃料と酸素です。これが「燃焼器」で混ざり合って燃えると、ガスが高速で噴き出しロケットが飛び立つことができます。

角田宇宙センター 富岡定毅所長
「ロケットの燃焼器は面に燃料と酸素を噴く「噴射器」が何百本と並んでいます。その中の1本分だけを取り出して燃料と酸素を混ぜてちゃんと燃えるか、そういう試験をする装置」

実験映像を見せてもらうと、ガスがすごい勢いで出ていますね。この「噴射器」が数百本も集まって、ロケットは宇宙に行くことができるのです。ただ、研究・開発はとても難しいことばかりで失敗の連続だそうです。
これは打ち上げに失敗して海に落ちたエンジン。失敗の原因を突き止めるため海の深いところから回収してきたそうです。富岡所長は、何度失敗しても前に進むのが研究だと話してくれました。

角田宇宙センター 富岡定毅所長
「そこで止まってはいかん。それを超えてでも進まなきゃいけない。やってこられた所だけが作れている」

ところで、どうして日本の宇宙開発の重要な施設が角田市にあるのでしょうか。

角田宇宙センター 富岡定毅所長
「巨大な火薬工場の跡地なんですね。戦争中に第一火薬廠と称するでかい工場がありまして1万4千人が働いていたそうです」

角田宇宙センターのある場所は、もともとは昔の軍隊、海軍の火薬工場でした。今も火薬工場の煙突や火薬の運搬に使っていたトンネルなどが残っています。

角田宇宙センター 富岡定毅所長
「国有地として、しかも山を削ったような盆地みたいになっている所なので、中で何かあっても周りには迷惑をかけにくい。そういったところが手つかずで残っていたのでそこでよし研究をやろうと」

角田宇宙センターは1965年から約60年、日本の宇宙技術を支えてきました。富岡所長には大きな夢があるそうです。

角田宇宙センター 富岡定毅所長
「今回の休暇はアメリカに行くんじゃなくて月だ、みたいなね。そんな世界が作りたいと思っています」

最先端の宇宙開発研究は東北大学でも行なわれています。東北大学の一見、普通の研究室。その一画にあるのは、なんと月面を再現したフィールド!そして、その月面を4本の足で歩くロボットが!

東北大学大学院工学研究科 吉田和哉教授
「この機械は『moonbot』という名前の月面探査ロボットです」

月=moonとロボット=robotをあわせて「moonbot」。何といってもその特徴は、4つの足で歩くところ。車輪型のロボットでは動けない所でも動き回れるそうです。そしてもっと先の研究も!

東北大学大学院工学研究科 吉田和哉教授
「月面に送り込まれたロボットがまた新しいロボットを月面で組み立てていることをイメージしたイラストになっています」

国は今、2050年までに月に宇宙研究の拠点を作るというプロジェクトを進めています。吉田教授はそのまとめ役として、ロボットを使って月に研究拠点を作ることを考えているのです。

東北大学大学院工学研究科 吉田和哉教授
「月というのは人類にとって宇宙に進出していくための最初の拠点となる」

人が月に長い期間滞在できるようになれば、月やより遠い星をもっと研究できるようになります。ロボットがロボットを組み立てて月に研究基地を作り、宇宙の謎に迫る。そんな未来を作る研究が東北大学で行なわれていました。月面探査ロボットにロケットエンジン。宇宙に近づくための最先端の重要な研究がここ宮城で進んでいます。私たちと宇宙の距離が少し縮まった気がしませんか。

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