(ブルームバーグ):外国為替証拠金取引(FX)を手がける個人投資家は、円相場が過去2週間の上げ幅を縮小する中でさらなる円の上昇に賭けている。

ブルームバーグがまとめた東京金融取引所のデータによると、個人投資家が14の外国通貨に対して保有する円のネットロング(買い越し)ポジションは12日時点で4313億円と、7月末の日本銀行の利上げ以降で22%増加した。4月に記録した過去最高の5005億円に迫る勢いだ。

依然として大きな内外金利差から生じる損失にもかかわらず、円に強気のポジションが増加していることは、円の上昇がまだ続くという個人投資家の強い確信を表している。米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ見通しや、低金利の円を売って高金利通貨を買うキャリー取引を敬遠させる市場ボラティリティーの高まりも、円強気派を活気づけている。

外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長は、「金利差の観点から円を売って他の通貨を買うのがセオリーだが、市場の安定という前提条件がない状況では難しい」と話す。株価下落のリスクも円を上昇させる傾向があるという。

円相場は14日午前8時40分現在、対ドルで146円88銭付近で推移。5日に7カ月ぶり高値141円70銭を付けてから4%近く下落している。

円のロングポジションの大半はドルに対してで、対ポンドと対スイスフランが続く。個人投資家はメキシコペソやトルコリラといった高利回り通貨に対して円ショート(売り持ち)を保有していたが、こうしたポジションは過去2週間で大幅に縮小した。

東京金融取引所における円のポジションは、個人投資家が為替市場に投じている大きな資金の一部である。金融先物取引業協会の報告書によれば、昨年の東京市場で個人の外為証拠金取引はスポット取引のほぼ4分の1を占めた。

マッコーリー・グループのストラテジスト、ガレス・ベリー氏(シンガポール在勤)とティエリー・ウィズマン氏(ニューヨーク在勤)はリポートで「円ははるかに建設的な環境に入ったようで、極端な過小評価は時間とともに是正されるはずだ」と予想。2025年末には1ドル=125円まで円高が進む可能性があるが、「もっと早く実現する確率が高まっている」と指摘した。

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