(ブルームバーグ):2024年のボラティリティー急上昇は、新型コロナウイルス流行時に起こったような経済に対する信頼の崩壊ではなく、ウォール街の急激なレバレッジ解消の波によって引き起こされた。市場の兆候はすべて、米国株が最近の混乱を経て落ち着きを取り戻しつつあることを示している。

恐怖指数として知られるボラティリティー指数(VIX)の算出元は12日、最近の急激な上昇に関してこのような見解を示した。5日に急上昇したVIX指数を巡っては、サマーズ元米財務長官が疑わしい動きとの認識を示していた。

CBOEグローバル・マーケッツはVIXが跳ね上がったことについて、寄り付き前の取引で薄商いだったことが要因の1つだと認めたものの、円キャリートレードの巻き戻しにつながった円急騰と日本株の記録的急落に起因する伝染リスクへの懸念増大によって、VIXの急上昇は正当化されると説明した。その際、S&P500種株価指数先物は4.5%下落しており、これは年率換算でボラティリティーが70に相当する水準だと、同社のデリバティブ市場インテリジェンス責任者、マンディ・シュウ氏は指摘した。VIXはこのピークで65を上抜けた。

「寄り付き前の取引でS&P500種指数先物が大きく動いたことを踏まえると、VIX指数がこれに反応して大きく動いてもそれほど驚きではない」とシュウ氏はインタビューで語った。

5日の急上昇を巡っては、流動性の不足やボラティリティーの読みを誤ったことによるショートカバーに加え、流動性の低いオプション契約が指数の算出に用いられていることで、弱気心理が誇張された可能性があるとデリバティブの専門家は主張。VIX指数とVIX先物の価格に異常な開きがある点に言及し、VIX指数が市場の現実から切り離されている証拠だと述べている。

VIX指数の推移

VIX指数は5日、5時間足らずで42ポイント上昇し、ニューヨーク時間午前8時37分には65.73まで跳ね上がった。しかし、同指数に連動する指数先物(8月限)は同期間に約5ポイント上昇しただけだった。

その差であるスプレッドは最大で32ポイントまで広がったが、取引終了時には8ポイントに縮小。素早い戻りを見せたことで、そもそも寄り前の取引におけるVIX急上昇は、投資家の恐怖心を誇張しすぎていた可能性が高いことを示しているとの指摘が出ている。

原題:VIX at 65 ‘Isn’t That Surprising’ in Panicked Market, Cboe Says(抜粋)

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