企業のコンプライアンス(法令順守)違反に伴う倒産が目立っている。帝国データバンクによると、2023年度は前年度比16・6%増の351件(法的整理のみ、負債総額1000万円以上)に上り、03年度の統計開始以来最多となった。
帝国データは、売り上げの架空計上などの「粉飾」や、法律違反によって行政処分を受けるなどの「業法違反」、所得・資産を隠蔽(いんぺい)する「脱税」などをコンプラ違反と定義。コンプラ違反が発覚したことで経営が悪化して倒産したり、倒産後に違反が判明したりしたケースをコンプラ違反倒産として集計した。
内訳は「業法違反」が最多の84件。ほかに「粉飾」の81件、「資金使途不正」の56件、「不正受給」の30件――などが続いた。粉飾はコロナ禍前から増加傾向にあったが、実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)などの支援策の影響で表面化しづらい状況が続いていた。
コンプラ違反倒産で負債総額が最も大きかったのは、ベアリング商社の「堀正工業」(東京都、負債総額約282億6600万円)のケース。23年5月に不適切な会計処理を行っている疑いが浮上。銀行への報告内容とは異なり、深刻な債務超過状態が続き、借入金の返済原資も確保できない状態だったことが判明した。
23年度は中古車販売大手「ビッグモーター」による保険金の過大請求やダイハツ工業による認証不正問題など、企業のコンプラ違反が問題視される事例が相次いだ。帝国データは「コンプラ違反に対する社会の目は厳しく、ささいな違反でも信用が大きく失墜する事態になりかねない。経営者にも法令順守による健全経営の意識が求められている」としている。【福富智】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。