認証不正の再発防止策を記者団に説明するトヨタ自動車の佐藤恒治社長=東京都文京区で2024年8月9日、安藤龍朗撮影

 トヨタ自動車は9日、自動車の大量生産に必要な「型式指定」の認証不正問題で、国土交通省から是正命令を受けたことから、再発防止策をまとめ国交省に提出したと発表した。認証に携わる人員を現在の約400人から1割程度増やすことや、認証試験に立ち会う「社内審査官」を新設することを盛り込んだ。

 佐藤恒治社長は東京都内で記者団の取材に応じ「改めて経営の責任を認識しつつ、再発防止に向け先頭に立って、全社一丸となって取り組んでいく」と語った。

 再発防止策ではこれまでの反省を踏まえ、経営陣の型式認証への関与を強めるとした。中嶋裕樹最高技術責任者(CTO)、宮本真志グローバル最高品質責任者(G―CQO)をそれぞれ開発、認証業務の責任者とし、責任を明確にする。

 認証試験を適切に進めるため「社内審査官」を新設。試験条件の順守度や使う設備などが法規を満たしているか、時間的制約が生まれていないかなどを確認。定期的にG―CQOなどに報告する役割を担わせる。また内部監査室に外部専門家の登用を検討するとした。

 今回の不正について佐藤社長は「現場に依存したプロセスになっていた」と振り返り「節目での判断や環境づくりに経営がもっと責任を果たしていく必要がある」と説明した。

 国交省が7月31日、道路運送車両法に基づく是正命令を初めてトヨタに出し、1カ月以内に再発防止策を報告し3カ月ごとに実施状況を知らせるよう求めていた。

 ナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹代表アナリストは「社内審査官が認証行為に間違いがないかを確認することで、よりエラーが起きにくくなるだろう。仕組みを変えるのには時間はかかると思うが、粛々とやっていくしかない」と指摘した。【大原翔、安藤龍朗】

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