8月1日、ホンダと日産自動車は、検討してきた業務提携を具体的に進めるための覚書を締結したと正式発表した。写真は日産のロゴ。ニューヨークで3月撮影(2024年 ロイター/David Dee Delgado)

ホンダと日産自動車は1日、検討を進めてきた電気自動車(EV)分野を中心とする業務提携に関する覚書を締結したと正式発表した。販売後もソフトウェアで機能や性能を更新できる車両「SDV」向けプラットフォームの共同研究、電池、EV駆動装置「イーアクスル」の共通化、車両の相互補完、国内充電サービスなどで協業する。

両社で技術を持ち寄り開発スピードを加速するほか、規模拡大でコスト競争力を高め、EVで先行する米中勢に対抗する。巨額の開発コストを分担し、投資負担を抑える。


 

日産が34%超を出資している三菱自動車も同日、ホンダ・日産の枠組みに参画する方向で協議を進めると正式に発表した。

同日会見したホンダの三部敏宏社長と日産の内田誠社長は、EVで先行する米テスラや中国BYDとの差は「スピード」とみており、三部社長は「試合は始まったばかり。まだ十分戦える」と説明。内田社長も「素晴らしい技術があっても事業化できなければ意味がない」と語り、協業を通じて対抗する意欲を示した。

三部社長は、SDV向けプラットフォームについて「基礎要素技術の共同研究に合意し、すでに研究を始めている」といい、「1年後をめどに基礎研究を終えることを目指し、成果が出れば量産化の可能性を検討する」と説明。同プラットフォームを搭載した車は「30年の手前くらいには出したい」と語った。

内田社長は、5つの協業領域の中でも「特にキーとなるのがソフトウェアだ」と指摘。アプリの追加や更新で新たな付加価値を顧客に迅速に提供したり、電力マネジメントを高度に知能化してEVの省電力性を向上させたり、自動運転の技術も進化させることを狙うと話した。三部社長はまた、ソフトの開発費は額が大きいため投資負担軽減の点でも協業は「メリットが非常に大きい」と述べた。

電池については、両社の計画している電池がどちらの車にも搭載できるようEV向けセル・モジュールの仕様を共通化する。ホンダがLGエナジーソリューションとの合弁会社で生産する電池を、日産が28年以降に北米で供給を受けることも検討する。

EV基幹部品のイーアクスルでは、モーターやインバーターを両社で共用し、中長期的に仕様の共通化を図る。車両の相互補完はEVのほか、ガソリン車でも検討する。

資本提携の可能性について内田社長は「現時点で検討していない」といい、三部社長も「ビジネスの可能性として否定するものではないが、話をしていない」と述べた。

日産は仏自動車ルノーと企業連合を組んでいるが、内田社長は、ホンダと協業を進めても「ルノーとの関係がなくなるわけではない。さまざまなパートナーと協業しながらさまざまな成長をつなげていく」と話した。



[ロイター]


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