半導体を最終製品に組み立てる「後工程」の世界最大手「日月光投資控股」(ASE)の日本法人が31日、北九州市若松区の「北九州学術研究都市」にある市有地約16ヘクタールを取得する仮契約を市と結んだ。市によると、ASEは今後、国の補助金なども勘案し、最終的な進出先を決定する見通し。
半導体製造は、基板に電子回路を形成する「前工程」と、基板を切り分けて加工や検査、組み立てをする「後工程」がある。
熊本県菊陽町に進出した「台湾積体電路製造」(TSMC)は、前工程での世界最大手。ASEの進出が実現し、後工程まで九州で一貫して製造できるようになれば、「シリコンアイランド」と呼ばれた九州での半導体産業の再興が進み、関連産業の集積にもつながりそうだ。
ASEは台湾・高雄市に本社を置き、2023年12月期の売上高は約3兆円と後工程で世界最大手。100%子会社の日本法人は04年6月に設立されており、本社・工場は山形県高畠町にある。事業規模拡大に向け、新たな立地先を検討しているとみられる。
仮契約した市有地のある北九州学術研究都市は01年にオープンした、大学や研究機関などが集まる拠点。市企業立地支援課によると、今回の仮契約はASEの北九州進出に向けた交渉の段階に当たる。工場の新設が見込まれるが、投資額や詳しい用途などは決まっていないという。
同課の担当者は「(同社が進出すれば)『シリコン・シティ北九州』の構築を加速することになる。本契約に向けてニーズに応えられるよう、取り組んでいく」と説明した。【山下智恵】
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