(ブルームバーグ):バークレイズの金利ストラテジストは、いわゆる「トランプトレード」に対する「ハリストレード」の可能性を紹介した。

30日に発表されたアムルート・ナシカー、マリア・キアラ・ルッソ両氏のリポートによると、米大統領選挙で現職と異なる政党の候補が勝利した場合、選挙後3カ月は金利のボラティリティーが上昇するのが一般的だという。しかし、ホワイトハウスが現職の政党の手に残る場合、ボラティリティーは低下する。民主党のハリス副大統領が勝利した場合は後者になる。

ウォール街ではこれまでのところ、共和党のドナルド・トランプ氏が大統領に返り咲いた場合に有利なトランプトレードが注目されており、そこには財政政策が放漫になるとの見通しから長期債利回りの上昇を見込む取引が含まれている。バークレイズのリポートは、ホワイトハウスの支配権が変わった場合の歴史的な市場の反応を分析し、中期ゾーンのインプライドボラティリティーの上昇を予想している。

ボラティリティー低下の可能性は現在市場で過小評価されているため、民主党の勝利は異なる投資機会を提供するとバークレイズのストラテジストは指摘した。ストラテジストらは過去30年、つまり1996年以降の7回の大統領選挙におけるインプライドボラティリティーと実現ボラティリティーのパターンを研究した。

「今回の選挙では、結果によって金利の方向性が左右される可能性が高い。共和党が優勢になれば金利は上昇し、民主党に有利な結果になれば金利は低下すると当社は見ている。金利が上昇すればボラティリティーは上昇し、金利が低下すればボラティリティーは低下する可能性が高い」とストラテジストらは説明。その上でボラティリティーの価格設定は低下を見込んでいないと指摘した。

11月以降に金利ボラティリティーが低下することに賭けたいトレーダーは、例えば金利が最近のレンジ内にとどまった場合に利益の出るオプション戦略を採用することができる。

バークレイズのレポートによると、トランプ前大統領が勝利した場合、関税引き上げなどの政策により選挙後の数カ月に10年物米国債の実現ボラティリティーが最大30ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇する可能性がある。ハリス氏が勝利した場合は退陣するバイデン政権の政策が継続される可能性が高いためボラティリティーが10bp程度低下すると見込まれるという。


ウォール街は2024年大統領選挙が市場に与える影響に関するさまざまな分析を行っている。コンセンサスとなっている「トランプトレード」は、トランプ氏が当選した場合、同氏の政策がインフレをもたらし、債券利回り、ドル、銀行株やエネルギー株を上昇させるという考えに基づいている。

原題:Barclays Sees Rate Volatility in ‘Trump Trade,’ Less for Harris(抜粋)

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