米東部ペンシルベニア州のシャピロ知事=2022年11月5日、秋山信一撮影

 米東部ペンシルベニア州のシャピロ知事は30日、日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収について、「米国の鉄鋼労働者が満足していないのであれば、私も満足できない」と述べ計画に反対する考えを示した。11月の米大統領選ではハリス副大統領が民主党候補指名を確実にしており、シャピロ氏はハリス氏が検討する副大統領の有力候補の一人と目されている。

 シャピロ氏は30日のイベントで「ペンシルベニア州でUSスチールの事業が続き拡大する未来が見えなければ、私は満足できない。深刻な懸念を抱いている」と述べた。USスチールの本社は同州ピッツバーグにあり、全米鉄鋼労働組合(USW)が合併に反対。シャピロ氏はUSWの意向に配慮したとみられる。

 ペンシルベニア州は大統領選の行方を左右する「激戦州」の一つで、USWなど労組票の取り込みが課題。米国内には「同盟国の日本企業による買収に問題はない」(アナリスト)との見方があるが、政治的理由からバイデン大統領は「国内で所有・運営される米企業であることが不可欠だ」と買収に難色を示してきた。

 共和党の大統領候補のトランプ前大統領と、トランプ氏から副大統領候補に指名されたバンス連邦上院議員も買収に反対する考えを明示している。【ワシントン大久保渉】

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