JR東日本は30日、2025年3月に開業する複合開発プロジェクト「高輪ゲートウェイシティ」(東京都港区)で使用する水素燃料電池搭載の小型トラックを公開した。街全体の荷物を一括配送する物流効率化に取り組み、街に出入りする配送トラックは従来に比べ1日1000台削減できるという。
従来の物流インフラは、大型商業施設に入居する店舗などへの配送時間に合わせ、それぞれの運送事業者が直接納品するため、ビル内の駐車場やエレベーターが混雑し、納品遅れが生じやすいなどの非効率さが問題となっていた。
高輪ゲートウェイシティでは、小型の物流拠点倉庫を数キロ離れた平和島(東京都大田区)に整備。街に運び込まれる荷物は全て倉庫にいったん集約し、街への配送には2台の水素トラックを活用することで、混雑解消と環境への配慮を両立させたい考えだ。
ジェイアール東日本物流の野口忍社長は「周辺道路の混雑や配送遅延などの問題にも対応できる。水素トラックも使って周辺環境を保ち、地球にやさしい物流を実現したい」と話した。
高輪ゲートウェイシティは、JR東日本が単独で開発する国内最大規模の複合開発プロジェクト。20年3月に開業した「高輪ゲートウェイ駅」に隣接し、オフィスやホテル、レジデンス(居住棟)など五つの施設が連なる。総事業費は6000億円。25年3月に一部施設の開業が予定される。
街全体のエネルギーは、再生可能エネルギーを活用し、二酸化炭素(CO2)排出量の実質ゼロを目指す。地下の地域冷暖房施設に蓄熱槽を設け、災害時に非常用水としても活用する。蓄熱槽は50メートルプール8杯分にあたる2万トンを貯水できるといい、国内最大規模となる。【佐久間一輝】
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