水素燃料電池を搭載した小型トラックに水素を補充する水素ステーションの職員=東京都港区で2024年7月30日、佐久間一輝撮影

 JR東日本は30日、2025年3月に開業する複合開発プロジェクト「高輪ゲートウェイシティ」(東京都港区)で使用する水素燃料電池搭載の小型トラックを公開した。街全体の荷物を一括配送する物流効率化に取り組み、街に出入りする配送トラックは従来に比べ1日1000台削減できるという。

 従来の物流インフラは、大型商業施設に入居する店舗などへの配送時間に合わせ、それぞれの運送事業者が直接納品するため、ビル内の駐車場やエレベーターが混雑し、納品遅れが生じやすいなどの非効率さが問題となっていた。

 高輪ゲートウェイシティでは、小型の物流拠点倉庫を数キロ離れた平和島(東京都大田区)に整備。街に運び込まれる荷物は全て倉庫にいったん集約し、街への配送には2台の水素トラックを活用することで、混雑解消と環境への配慮を両立させたい考えだ。

高輪ゲートウェイシティへの荷物を配送する水素燃料電池搭載の小型トラック=東京都港区で2024年7月30日、佐久間一輝撮影

 ジェイアール東日本物流の野口忍社長は「周辺道路の混雑や配送遅延などの問題にも対応できる。水素トラックも使って周辺環境を保ち、地球にやさしい物流を実現したい」と話した。

 高輪ゲートウェイシティは、JR東日本が単独で開発する国内最大規模の複合開発プロジェクト。20年3月に開業した「高輪ゲートウェイ駅」に隣接し、オフィスやホテル、レジデンス(居住棟)など五つの施設が連なる。総事業費は6000億円。25年3月に一部施設の開業が予定される。

 街全体のエネルギーは、再生可能エネルギーを活用し、二酸化炭素(CO2)排出量の実質ゼロを目指す。地下の地域冷暖房施設に蓄熱槽を設け、災害時に非常用水としても活用する。蓄熱槽は50メートルプール8杯分にあたる2万トンを貯水できるといい、国内最大規模となる。【佐久間一輝】

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