作成された文章のうち、白でない単語は事前に使用を促す単語リストに掲載されている=2024年7月29日、安藤龍朗撮影

 日立は生成AI(人工知能)が作る文章に多重の「電子透かし」を入れる世界初の技術を開発した。文章の作成者が人間か、生成AIか見分けられるようになり、生成AIを悪用した誤情報の拡散などを防ぐ狙いがある。

 生成AIを巡っては、例えば学生が授業のリポートをAIに書かせても、受け取った学校側は学生本人が書いたものか判断できないなどの問題があった。

文章に「電子透かし」を入れる仕組み=2024年7月29日、安藤龍朗撮影

 人間が文章を書いた場合、どの単語を選ぶかは状況によって異なる。日立はある単語の後に続くと予想される単語のうち、一部を「電子透かし」用の単語としてリスト化。AIが文章を作成する際にリスト内の単語から自動的に選ぶように設計した。リストを多重にすることで、安全性などを高めた。

 「電子透かし」を搭載したAIの文章は、リスト内の単語と一致する確率が高まる。このため文章の生成元がAIかどうか判別できるようになる仕組みだ。

 情報の生成元を判別可能にする「電子透かし」の技術は画像や動画で導入が進んでいる。文章は技術的にハードルが高いとされていた。文章でも「電子透かし」の導入が広がれば、複製が繰り返されたものでもAIが関与したか判定できるようになるという。

 開発者の永塚光一さんは「生成AIに関する規制・ルールの議論が進む中、まずは実用に堪えるよう技術の精度を高めていきたい」としている。【安藤龍朗】

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